映画熱 -351ページ目

THE JUON / 呪怨

これってやっぱり洋画なんだろうか。日本で撮って、日本人が監督して、出演もほとんどが日本人。でも、主役の二人がアメリカ人。資本もアメリカ。やっぱ洋画か。


清水監督は、相変わらず恐怖演出が笑いと紙一重。TVドラマ「怪奇大家族」でも、お笑いのセンスを証明しています。そんなわけで、笑いどころはやっぱり、伽耶子のシーン。


彼女は、貞子より動きは速く、サマラよりは遅い。しかし瞬間移動を必殺技とし、わざわざ狭いところに入って驚かす。その現れ方が笑えます。


主演の二人は、わざとかどうか知らんが身長がやたら低い。小柄だから日本の家屋に合う。そして結構内気でおとなしい。アメリカ人独特のケバケバしさがない。やっぱりこれ、邦画にしようよ。「ラスト・サムライ」と「キル・ビル」と一緒にさあ。

ヴィタール

おお!これは素晴らしい。新しいジャンルを開拓した、画期的な作品です。


監督は、われらが塚本晋也。相変わらずマニアックな世界を表現しまくっています。今回の題材は、解剖学の美しさといいますか、人間の体と心の奥深いところを、一種変態性も交えながら映像化に成功しています。


主演は、不思議な魅力を持つ浅野忠信。ヒロイン(たぶん)は、モデル出身で今回映画初出演のKIKI(キキ)。彼女の妖しい美しさはかなりヤバイです。前髪をそろえているところなんか、いい感じです。俺はすっかり彼女に魅了されてしまいました。


楽しそうに解剖する浅野君と、嫉妬メラメラのKIKI。いーじゃないですか、そそるじゃないですか。これは、まじめな変態映画として、長く語り継がれることでしょう。


塚本監督って、やっぱ天才ですね。カンヌ映画祭の審査員やるだけのことはある。変態映画撮らせたら世界一!

サスペクト・ゼロ

なかなかサスペンスしてますが、いまひとつ惜しい映画でした。


超能力捜査という、そそる題材なのですが、せっかくベン・キングスレー(ガンジーでオスカー)という大物を起用しているのに、もったいない使い方しているような…。これだったら、「セブン」のケビン・スペイシーのほうが、よっぽど存在感があったような気がします。


サイコ・サスペンスというジャンルも以前ほど新鮮ではないので、ありきたりな展開では、お客さん喜ばないよ。この間見たアンジェリーナ・ジョリーの「テイキング・ライブス」といい勝負かな。


ただ、映像の表現に関しては、いいシーンがいくつかあるし、新しいことに挑戦しようとしている意気込みは感じられるので、それなりに楽しめる作品ではあります。


でも…、主人公が、やっぱ地味かな。

着信アリ2

ぬるい。


たぶんつまらないだろうという確信アリだったのですが、ものの見事に安っぽい仕上がりでした。


ミムラさんは月9ドラマに出て、現在売り出し中なんでしょうが、こんな大根ぶりだと次の仕事がくるかどうか、心配になって来ます。


1作目は、岸谷さんが死体フェチを怪演していて、俺的には楽しめたんですが、今回のはどうもイケてません。盛り上がらないままエンドクレジットになってしまいました。


この映画で怖がれる女子高生がうらやましいなあ。

アレキサンダー

うわー、こりゃダメだ。最低の出来。見ないほうがいいです。


もっとも、コリン・ファレルのアレが見たい人はどうぞ。止めません。


ストーリーは同性愛中心。しかも美しくない。


とどめに、主人公が戦いに弱い。口ばっか。おまけにマザコン。


そして、やたら長い。


極めつけ、監督はオリバー・ストーン。こりゃ製作費回収不可能。


いったい、どうしろと?

火火

田中裕子さんが陶芸家をやる、という内容に興味がわいたので、見に行って来ました。


相変わらず凄みがある。いくつになってもこの人のオーラは不滅です。せつなくつらい題材なのに、明るい話になってしまうのも、彼女のパワーのなせる技でしょうか。


田中さんは、「ザ・レイプ」でしなやかな女性を演じ、その後も着実にキャリアを積み重ねてきましたが、今でも存在感抜群の、日本を代表する女優の一人です。老けてもそれなりにきれいだと思います。


いつまでも応援してあげたいです。

レイ

なかなかグレートな映画でした。


レイ・チャールズの音楽は、たびたび聞いたことはありましたが、彼の人生がどういうものであったかは知らなかったので、新鮮な驚きとともに、自分のなかの共感する部分も発見した次第です。


盲目のミュージシャンと言えば、スティーヴィー・ワンダーもいますが、レイこそは先駆的存在なのでしょう。何も無いところから自分の感性で才能を切り開いていくプロセスは、痛快であり、感動的でもあります。


ただ、忘れてはならないのは、逆境に対して、それを乗り越える力はどこから来るのだろうということです。なんとなく選択したらうまくいくというほど、世の中は甘くありません。そっちへ行くべきなんだけど、素直に行けない。なにかが邪魔している。この壁を越えなきゃ、立ち向かわなきゃ。わかっているんだけど、つい楽な方に行ってしまう。後回しにしているうちに、取り返しのつかないことに…。そんなことって、多いもんです。


レイの人生は、追い詰められてしまうことの連続でした。いつもぎりぎりのところで、必死に乗り越えるしかない。失敗したら、転落するのみ。盲目であるがゆえに虐げられ、不当に扱われ、人権もろくにあたえられません。そういう中で、自分の力で自分の居場所を築き、仲間をつくり、いつしか巨匠になっていくのです。


母親から学んだ愛情と厳しさ、つらい目にあったくやしさと悲しみは、いつしか美しい旋律となり、世界中の人々に伝わるメッセージとなっていきます。心にしみる、グレートなメロディ。彼の音楽は、いつまでも私たちに勇気と希望を与え続けることでしょう。


主演のジェイミー・フォックスは、レイからじかにピアノのレッスンを受けたそうです。残念ながらレイ本人は、映画が完成する前に亡くなってしまいましたが、ジェイミーと楽しい時間を過ごせたことで、いい映画になると確信していたものと、俺は思います。


何かを乗り越える時に必要な力。それは愛だったり、友情だったり、意地やプライドだったりと様々ですが、やっぱり目に見えないものなのかな。見えない何かが、俺の背中を押す。突き動かされていく。気がつくと、ちゃんと一歩前に出ている。誰かのおかげなのかなって、時々思ったりします。


レイは、幸せな人生を過ごしたんだと思います。合掌。

スーパーサイズ・ミー

これはすごい映画でした。何がすごいかって、この主人公が本当に挑戦しているからです。それをやったからといって、だれかに褒められるとか、何かもらえるとかというわけでもなく、ただ、自分の信念のために挑むのです。大したもんだと思います。


何をするかというと、マクドナルドのメニューを一ヶ月間食べ続けるんです。それをドキュメントするんです。

マイケル・ムーアの「華氏911」が電波少年なら、こちらはココリコ黄金伝説といったところでしょうか。


それにしても、彼はがんばる、がんばる。そしてがんばる。どうしてそんなにがんばるのか。体がフラフラになっても、医者から警告されても、あきらめない。そしてついに…。


なんだかとても大切なものを学んだような気がします。


俺にとって映画は、最高の教師です。今までも、これからも。

レイクサイド・マーダーケース

なんとも不思議な映画でした。でもこれは、ある意味秀作ではないかと。見た人によって受け取り方は様々でしょうが、俺は結構楽しませてもらいました。


先日見た「理由 」では、ものすごくたくさん説明しまくってくれたのに対し、こちらは、最低限の情報しか与えられません。だから、考える力と想像力を駆使して見ていかなければなりません。


実際、結末もあいまいに近い感じなので、見た情報を自分なりに整理しながらエンドクレジットを眺めることに。やっぱりそうなのか…って。


しかし、薬師丸ひろ子はだんだん女優としての凄みが増しているようで、嬉しい限りです。役所広司と柄本明の「うなぎ」コンビも、息がピッタリで掛け合いが面白い。


本格ミステリーがどういうものなのか、いまだによくわからないので、偉そうなことは言えませんが、謎解きの楽しみが、映画を見た後にもつづく…と考えれば、得した気分になりませんか?


あれ、もしかして、見た人みんなが全部わかってて、わからないのは俺だけだったりして…?


でも、それはそれで得ですね。

オペラ座の怪人

これはヒドイ。ほめるところがありません。長くて、大味で、ユルユルでスカスカです。唯一よかったのは、テーマ曲だけかな。本編より予告編の方が、出来がよかった。


一番変なのは、怪人の痣の大きさがコロコロ変わるところ。中盤でえらいちっちゃい仮面つけてたから、そんなんで隠れちゃうくらい小さいんだって思ったら、クライマックスでヒロインにはぎとられたら、けっこうデカイでやんの。スケール統一して下さいな。痣のあるキャラなら、「金田一耕介・悪魔の手毬唄」の里ちゃんの方がよっぽど魅力的です。


怪人が魅力的でなきゃただの怪人だし、ヒロインが魅力的じゃなかったらただの女でしょ。そんな映画を二時間以上見せられたらたまらんですよねえ。


ちなみに、ロバート・イングランド(エルム街の悪夢のフレディ)主演の同作の方が、妖しくて俺は好きです。