北の零年
吉永小百合さんの映画を、お金払ってみるのは初めてなんですが、デカいスクリーンだとドアップになり過ぎて、彼女の顔のシワがクローズアップされてしまうのは、痛々しい限りでした。
吉永さんのダンナが渡辺謙というのも無理があるかなと思うんですが…。あっ、あんまりそういうこと言っちゃいけませんね。でもいたいけな子役と、石原さとみはよかったです。
この映画は、あくまでも女が中心で活躍し、男はいざとなると頼りにならないといわんばかりの展開なので、ちょっと淋しい気分になってしないました。
かつて「もののけ姫」というアニメ映画がありましたが、あれはよかったと思うんですよ。この映画との違い、誰かわかってもらえるかなあ。
約三十の嘘
これはすばらしい。新しい領域を開拓した気分です。このシナリオはもともと舞台用だったものを映画の脚本に書き直したものらしいのですが、これがなかなかいい出来で、すっかり魅了されてしまいました。
まず、ストーリーが面白い。
映画のシーンの九割が電車の中という、退屈しそうなシチュエーションでありながら、それを忘れさせるような、流れるような展開。ギャグのキレもいい。
そして役者の演技がすばらしい。
出演は椎名桔平、中谷美紀、妻夫木聡、田辺誠一、八嶋智人、伴杏里。この七人の演技合戦が見もの。みんな楽しそうに演じてました。
それから音楽がカッコいい。
音楽担当はクレイジーケンバンド。この映画で初めて耳にしたんですが、彼らの音楽、いいですね。さりげなくてせつなくて、大人の風格があって、インチキくさい。30代後半の俺は、すっかりハマってしまいました。
主題歌の「あぶく」は、ゆったりしたノリの名曲です。
映画って、いろいろな要素が複雑に絡み合って構成されているものなんだけど、それらが見事に調和されていると、気持ちいいものなんです。こういういい作品に出会うと、映画見続けてきてよかったなって思うんですよね。今年は邦画が面白いかな?
エイリアンvsプレデター
タイトルからして、もうマニアは生唾ゴックンものでしょう。俺も、こういうジャンルはまんがまつりみたいで、ちょっとワクワクしちゃいます。
ストーリーはもう、どうでもいいてしょう。夢の競演を心ゆくまでお楽しみ下さい。
予告編のキャッチコピーによると、「どちらが勝っても、人類に未来はない」そうです。でも、さすがにそれだと映画にならないので、どっちかが人間の味方をしてくれることになります。さて、どっちかな?
バトルシーンで、エイリアンに鋼鉄の網がかけられて、電流を流されて焼かれるようなシーンがあったと思うのですが、そのエイリアンの頭が、ナスの炒め物みたいで爆笑しました。それ以来俺は、ナスの炒め物を「ナスのエイリアン焼き」と呼んで、食べるのが楽しくなりました。本当にエイリアンに見えるんです、これが。
みなさんもぜひお試しください。
昔から、この手のバトルものってあるけど、なくならないですねえ。面白いから。これからも色んな対決を楽しみにしています。
理由
宮部みゆき原作、大林宣彦監督というだけで話題騒然。俺は原作は読んでないのですが、宮部さんの作風と大林タッチは知っているので、興味があって行って来ました。
なんでも映像化不可能とまで言われた問題作だっただけに、どんな映画なんだろうと思ったんですが、なんのことはない。小説をそのまま映画にしちゃいました。なんと107人もの証言者を順番に登場させていくという、気の遠くなる展開。それだけなら疲れるだけの映画ですが、そこは大林流。随所に工夫が見られます。
出演者は基本的に全てノーメイク。ベテランと若手の演技そのもので物語を引っ張っていくことが軸になっているようで、ところどころに女の子のかわいさをちりばめて、緊張と弛緩のバランスを取ります。つまり、宮部ストーリーを大林演出で展開していくのです。重いんだか軽いんだか。
中盤から謎解きが展開していくにつれ、主要キャラの出番も多くなり、頭が整理されてくると、すかさず衝撃シーンの連続。観客が疲れのピークに達するクライマックスでは、少女が勇気を振り絞って…。
二時間以上あるし、非常に疲れる作品なんだけど、見終わった後の爽快感はななかのものでした。中学生
の夏休みにデカい本を読み終わった時のような感じでしょうか。映画を見たのに、小説を読んだようでした。
原作ファンの人はどのように感じたのでしょうね?
それにしても大林監督はまだまだチャレンジ精神旺盛だということがわかりました。ガンバレオヤジ!
カンフーハッスル
新年早々、威勢のいい映画を見て気分爽快!と言いたいところですが、いい面と悪い面がはっきりしすぎていて、賛否両論といったところでしょう。
でもさすがは香港映画。カンフー映画ファンも喜ぶ面々もたくさん出ているし、主演のチャウ・シンチーもブルース・リーなアクションで見せ場もたっぷり。ずいぶん特訓したんだろうなあ。燃えよドラゴンの衣装も男泣き。俺の年代って、燃えよドラゴンのテーマ曲で自動的にブルース・リーになる人はクラスに5人はいたなあ。
特殊効果を使ってもやっぱり香港映画。庶民の生活感まるだしの描写はてんこ盛りです。それがまずかった。ほんの一瞬なんだけど、ウ○コしてるシーンが映るんです。それを見たときはさほど感じなかったんだけど、後から思い出しちゃうんだなあ。どうかカップルのみなさんは見逃していて欲しいところです。俺は知らんぷりしてようと思ったのに、帰りの車の中で友達が、「あれ気づいた?」って聞くもんだから、ええっ、お前もかということになり、こりゃやばい。けっこうみんなみてるかもなあって爆笑しました。
というわけで、この映画は面白くてカッコいいんだけど、きれいな作品では決してありませんので、そこんところ覚悟して見て下さい。もしきれいなおねえさんと一緒に見るなら、その場面だけ「ほら、あれなんだ?」とか言って気をそらすのが紳士のたしなみと言えるでしょう。でも俺的にはOKな映画です。