カーアクションが無事終了すると、休憩に入った蓮が近づいてきた。
「こんにちは、最上さん?」
「敦賀さん・・お疲れ様です。」
キョーコが挨拶をすると、蓮はその隣にいた少年に視線を向けた。
「はじめまして・・・・出演者の方かな?」
そう言って蓮はキョーコの隣の五十嵐に視線を向けて話しかけた。
「あ、いえ、学校の友達で・・そのスタントマンの五十嵐さんの弟さんです。」
そう言ってキョーコが五十嵐を紹介すると蓮はじっと見つめた後、微笑んだ。
「初めまして五十嵐君・・敦賀です。」
「は、は初めまして・・その、いつもテレビで見ているので・・はじめてな気がしないのですが、今回は兄がお世話になりました。」
「クス、世話になったのは我々のほうですよ・・。とこで最上さんこれからBOX-Rの撮影?」
「いえ、これで終わりなので、帰る前に敦賀さんの撮影を見ていこうかと思って・・立ち寄らせていただきました。」
「・・そう、これから事務所に戻るんだけど一緒に車乗っていく?」
「あ、えぇ~っと」
そう言うとキョーコは五十嵐に視線を向けてから、再び蓮に視線を戻した。
「ん?」
「その、五十嵐さんと一緒に図書館に行く予定で・・。」
蓮はその言葉を聞いて瞳を見開いた。
「キョーコちゃん・・もしかしてその姿で行かないよね?」
社は慌てて会話に入った。
「え・・あ・・やっぱりダメですかね・・まだ大丈夫だと思っていたんですが・・。」
「いや・・キョーコちゃん・・一応芸能人なんだから行動には気を付けないと・・どこで噂になるかわからないから・・それにナツの姿だと目立つし・・。」
「はい・・そうですよね・・・。」
しゅん としてキョーコは社の話を聞いていた。
その様子を見て社と蓮は視線を合わせ、少し困った顔をした後、五十嵐に視線をむけると申し訳なさそうに彼が話し始めた。
「す、すみません。そうですよね・・芸能人の方を外にお誘いするなんて・・俺が間違っていました。」
「・・・悪いうわさが広がってからだと、京子も事務所も大変なんだ。だから気を付けてほしいと思っただけなんだよ?」
社がマネージャらしくそう答えると五十嵐は素直に社の話を聞いていた。
「はい、わかりました。今日はあきらめて、次回は学校の図書館に誘います!」
そう言って五十嵐はキョーコに別れの挨拶をすると風のようにその場を後にした。
「すみません・・社さん・・私、同じ年頃の友達ができて浮かれていました。学校でなら大丈夫ですよね?」
社はその質問に答えたくないと思ったが、答えないわけにもいかなかった。
隣の蓮の視線も気になる・・・。
「そうだね・・学校だったら大丈夫だと思うよ」
その答えを聞いてキョーコは嬉しそうに微笑んでいた。
社は嬉しそうにしたキョーコが気になった。