私がフジタ展の開催を知ったのは、2007年の秋のことでした。

当時フランスに滞在していた、あるブログオーナーの方が、「修復を終え、80年ぶりに一般に公開される作品があり、その作品は来年には日本にも来るらしい」 というステキな情報を記事に書き添えていらしたのです。

Le Petit Cheritane n°16あれから10数ヶ月、西暦は 2年進んで 2009年となっていた 先日、というか昨日。
とうとう念願かなって出かけて来ました。最近どうもジタバタドタバタしていて、1月18日・・・ つまり期間満了の直前に滑り込むことができました。ほっ。

最終日に展覧会に出かけたのは初めてなんですけど。

混んでるーーーー!!!
美術館というのは 「最終日にかけて混むもの」 という話は聞いていましたが、こんなにとは。

そうではなく、もともと、この "千客万来状態" が ずーーーーっと続いているのだとすると・・・
・・・ 完全に会場選びをミスった感が。
作品の前に人垣が何重にもなっていて、しかも反対側の壁にかけられた作品の前にも人垣がこれまた何重にもなっていて、合計何重なの? という・・・。あっちの絵を見る人々とこっちの絵を見る人々が混ざり合って、その場を抜けて先へ進んでしまうこともままらない。

混んでる時って、確率の問題なのか マナーをわきまえない人も多く、横から手を伸ばして額を壁から浮かす人とか、"暗黙の最前列" のその更に前へ インコースから割り込んでいく人とか、色々でした;

そんな出来事とはかけはなれた、フジタの描く美しい世界。
ポーセリンのような、明るく、冷ややかで、透明で遠い白。心行くまで堪能しました。
彼の生み出すあの目。あの顔。静かで、控えめで、強くて、見通すような、あの表情。きれいだ ・・・。

初めて フジタの作品を見た時、漫画のような絵に驚き、ふざけているのかと思いました。
いっしょに掛けられた他の画家の作品が "絵画然" あるいは "芸術然" としているのに大して、彼の作品だけが奥行きのない不真面目なものに映りました。まるで関心もわかず、親しみを持てませんでした。
20年足らず前のことです。


Le Petit Cheritane n°16日本国籍を捨て、洗礼を受けたフジタ。
日本画の面相筆を愛し、日本女性の妻とに晩年を過ごしたフジタ。
ランスの礼拝堂の建立に生涯を賭けて挑んだフジタが残したフレスコ壁画やステンド装飾のための習作群を前に、何とも複雑な思いになりました。

帰り、ショップに立ち寄りました。
油彩とは思えない透明感と軽さ、洗練された艶を両の目に焼き付けて、図録は買わず、ポストカードを2,3枚買い求めました。