Le Petit Cheritane n°16

新星館-須田剋太・島岡達三美術館」 に行って来ました。
これほどの衝撃を受けた美術館は過去にもなかったのではないかと、帰宅してあらためて振り返ってもやはりそう思います。
全く、言葉を失う素晴らしさでした。

何というか・・・ これほどのセンスを備えた人物が世の中にはいるんだなぁ、と館長のセンスにただただ恐れ入りました。何だか、神懸ってます^^

須田剋太は司馬遼太郎著「街道をゆく」の挿絵を描いていた画家で、この美術館は司馬遼太郎と懇意であった館長が司馬から須田剋太を紹介されて以降収拾し続けてきた須田作品の "一部" 120点を、島岡達三の陶芸作品 120点や、司馬遼太郎の絵画・書とともに展示している私立美術館です。
島岡達三は 1996年に重要無形文化財保持者(人間国宝)に認定された益子焼陶芸家で、「益子の象徴」「民芸の継承者」とうたわれ、"象嵌(ぞうがん)" に縄文の技法を融合させた「縄文象嵌」を確立しました。

美術館の建物は、美術館開設のために豪雪地新潟県から移築された築200年の古民家で、実に重厚でありながら開放的な建造物です。三階構造になっており、三階には展示スペースのほか、片側全面をガラス張りにした大きな窓があり美瑛の美しい景観を一望できます。
須田の力強い筆致と古民家の寡黙で無骨な美しさ。
島岡の大らかで現代的な器と古民家のゆったりとした重厚な温もり。
見事でした。
圧倒されました。
なお、素晴らしい作品たちは、手洗い用の洗面台に続く壁にまで惜しみなく架けられています。私は男性用まで覗かせていただきました ( ´艸`)

他方で経営自体はなかなか容易ではないという話でした。
昨年 9月中旬に緒形拳氏が訪れた際、この新星館を大いに気に入った彼が 「俺がここを有名にしてやる」(だったか、人が集まる場所にしてやる、だったかも。)と言った翌10月、彼は他界しその願いは果たされず。
「これほどの美術館だから、すぐ大勢の人が訪れるようになりますよ」の声に、「そう、みんなそう言ってくれるの、気に入った人はみんなそう言ってくれる。だけど、そのまま 8年経った」 と答えていた館長・・・ (° ∀°;)
一度来館した人は「潰れてないか心配して、また来てくれる」とも。
そうでしょうとも。私もその一人になります。
多いに魅了された今、祈るような気持ちで存続を熱望しています。また寄らせて下さい。

あの内容で入館料1,000円は安すぎるので、上げてはどうだろう?
“新星館” の標識だけではわかりにくいので、『須田』や 『美術館』をもっとフィーチャーした標識にしてはどうだろう?
ポストカードとかカタログとかバンバン作ってwebで販売したらどうだろう?(ポストカードがあったらぜひ購入したい作品がいっぱいだったのですが、ポストカード自体がなかったので。)
・・・ とか。
帰る道すがら、ハンドルを握りながらそんな余計なお世話なことをぼんやりと考えていました。