白夜行
白夜行
東野 圭吾
メタローグ
 前作「秘密」で、温かくて切ない物語を紡いだ東野圭吾が、今回は読む者の心を冷え冷えと切なくさせる。 1973年に起こった質屋殺しがプロローグ。最後に被害者と会った女がガス中毒死して、事件は迷宮入りする。物語の主人公は、質屋の息子と女の娘だ。当時小学生だった二人が成長し、社会で“活躍”するようになるまでを、世相とともに描ききる。2人の人生は順風満帆ではなく、次々忌まわしい事件が降りかかる……。当然ミステリーだから謎が隠されているわけだが、真相は途中で暗示されてしまう。しかし謎の存在などどうでもよくなるほどのスケールの大きさが読後に残る。(石飛徳樹)


白夜行読み終わりましたー。いや~結構な長篇小説でした。
ドラマで放送されていたので、読み始めたんですが‥ ドラマの方は1度も見たことがありません。

19年というなが~い年月をかけた物語です。はじめの方は章ごとに語り手が変わり、何年後かの設定になっていたりして 「あらっ?結局どーなったのかな?」という感じで続いていきます。ま~最後まできちんとしたことは何も語られることはなく、読者それぞれの想像になってしまうかと思いますが。
解説を読んでみょ~に納得しました。この白夜行という小説では、主人公である二人の感情とか思ったこと、感じたことといった内面を全く書いていない。こんな本に出会ったのは初めてかもしれません。(いや気付かなかっただけなのか??)雪穂と亮司の周りの人の視点を通してのみ、描かれています。最後までこの二人の関係がどうだったのか分からずじまいだったが、雪穂はラストでこう言ったんです。

「あたしの上には太陽なんかなかった。いつも夜。でも暗くはなかった。太陽に代わるものがあったから。太陽ほど明るくはないけれど、あたしには十分だった。あたしはその光によって夜を昼と思って生きていくことができたの。あたしには最初から太陽なんかなかった。だから失う恐怖もないの」

マリーがこの本を読んで初めて、雪穂の想いが語られた一文だと思いました。

それにしても、雪穂という女性はマリーからみて恐ろしい。頭もよく、キレイで、人を惹きつける何かがある。幼い頃の過去を引きずって、他の女性にも同じ体験をさせる。それが一番効果的だと雪穂自身が感じたのかもしれないが、同じ女性としてすごく残念に思うというか‥ 悲しくなる。雪穂はそれで満足だったのだろうか?亮司を失った彼女はどーなるのだろうか??

ドラマでは二人の想いが語られているようだったので、彼らがどう思っていたのか興味がありますね。(見た人いたら教えてね)


★★★☆☆