Q&A651 39歳、採卵3回、移植1回 | 松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

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生殖医療に関する正しい知識を提供します。主に英語の論文をわかりやすく日本語で紹介します。

Q 2015.1.25「Q&A583 39歳、採卵2回、移植0回」へのお返事ありがとうございました。その続きです。
3回目:hMG300注射にて4つ採卵でき、胚盤胞に育った1つを移植しました。(残りは胚盤胞になりませんでした。)しかし、結果は陰性でした。それを受け、子宮鏡検査を実施しましたが、問題はみつからず、着床の障害になるようなものはみられないとのことでした。
4回目:フォリルモンP300を二日間、その後hMG300で刺激をして採卵の予定です。
通院しているクリニックでは、初期胚の凍結は行っておらず、胚盤胞になってから凍結しています。移植は、初期胚より確率があがるので、胚盤胞まで育ってからがいいと言われます。やはり、着床の窓のズレが原因でしょうか。また、それを解消するような移植方法があるのでしょうか。なにを検査しても問題がないと言われ、どうしたらいいか八方塞がりになってしまいました。

A 前回お答えしたように、卵巣予備能がかなり低下しているものと考えます。卵巣機能が低下した方には、必ずしも胚盤胞を狙うのは得策ではありません。もちろん、胚盤胞の方が初期胚より確率はよいですが、移植できないで終わってしまえば0%ですから、移植して初めて採卵した甲斐があるというものです。

私はこのように卵巣予備能が低下した方には、初期胚を貯めて2個ずつ移植することをお勧めしています。着床の窓のズレは、最後に判断する内容ですので、現状では通常通りの移植を行なうのが得策です。八方塞がりと言いますが、私にとっては、まだ始まったばかりであり、これから多くの改善策が頭に浮かびます。決して諦めることなく、着実に進んで欲しいと思います。

ひとつだけすぐにでも改善できることは、フォリルモンから刺激を開始せずに、初めからLH含量の多いhMG製剤(フェリング、テイゾーなど)を使用してみてください。その方に合った刺激を選択するのが先決です。