多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の方にも心のケアが必要 | 松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

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生殖医療に関する正しい知識を提供します。主に英語の論文をわかりやすく日本語で紹介します。

今回ご紹介するのは、心理の論文を探している時にみつけたものです。本論文は、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の方への心のケアの必要性を述べたものです。

BMC Medicine 2010; 8: 41(オーストラリア)レビュー
要約:PCOSの特徴である肥満•にきび•多毛といった体型上の悩みや、排卵障害や不妊といった将来の妊孕性の心配、あるいは糖尿病の予備軍としての将来の健康への不安が生じます。これがQOL低下や気分不良、情緒障害などの心の問題へと結びつきます。このような精神的な問題はもっと注目されるべきですが、十分とは言えない現状があります。

解説:PCOSは、生殖年齢の女性の約20%にみられ、排卵障害がメインでありながら、代謝異常(耐糖能異常)と精神的因子を併せ持つ疾患です。PCOSにも「不安」と「抑うつ」が関与し、多くの論文が発表されています。不妊症の方に対しての心のケアの関心は高まっていますが、PCOSの方に対しても同様な心のケアが必要だと考えます。

下記の記事も参考にしてください。
2014.1.27「☆不安、抑うつ、妊娠の関係」
2012.11.24「☆心のケア(心理サポート)の必要性:女性編」
2013.5.15「うつ病と不妊症の関係は?」