女の子が欲しい時、夫に痩せてもらう? | 松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

生殖医療に関する正しい知識を提供します。主に英語の論文をわかりやすく日本語で紹介します。

面白い発想の論文です。本論文は、夫のBMIと出生児の性別の関係を調査したものです。

Fertil Steril 2015; 104: 1406(中国)
要約:2009~2013年に体外受精・顕微授精を行った8490組の出生児(単胎2377件、双胎943件)の性別と男性のBMIとの関連を後方視的に検討しました(女性年齢<40歳)。男性のBMIは生産率とは関連を認めませんでした。出生児の男女比は、BMI>25で1.27BMI<25で1.07と有意差を認めました。この現象は、単胎のみに認められ、双胎ではみられませんでした。

解説:X精子、Y精子が児の性別を決めるため、性別の決定権は精子にあります。そのため、男性の生活習慣や精液所見が性別に関係するのではないかという研究が散見されます。しかし、決定的なことは明らかになっていません。また、男女ともBMIが高くなると卵子や精子の状態が悪くなることが知られています。BMIが高い男性のお子さんのBMIは高くなるという報告もあります。本論文は、BMIが高い男性のお子さんは男児の確率が高くなることを示しています。ただし、これは単胎のみに限られた現象です。しかし、有意差はギリギリであり、結論的なことは言えません。もっと症例数を増やした検討が必要です。