Q&A1370 正常胚2個移植で化学流産 | 松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

生殖医療に関する正しい知識を提供します。主に英語の論文をわかりやすく日本語で紹介します。

Q 着床前診断を受け正常胚と判断された4AAの卵を2つ移植しましたが、判定日のHCGは33と低く、翌週にはさらに下がり化学流産と告げられました。先生の記事を読んでいても正常胚と診断された胚が必ずしも正常ではないということは理解はできるのですが、それにしても2つともそんなことがあるのかと思ってしまいます。

① 先生は正常胚の2個移植でも妊娠に至らなかった原因をどのようにお考えになりますか。子宮内膜側の要因として以前書かれていた、子宮内膜症、卵管水腫、粘膜下筋腫、慢性子宮内膜炎はありません。着床期の子宮の収縮はあるためダクチルを服用していました。その他不育症の検査は血栓ができやすいのでヘパリンを、ビタミンDと採卵まではDHEAも不足していたとのことで飲んでいました。
② 残っている正常胚は4BCと、以前に凍結していた分割胚のみです。次回はどのようにすればよいでしょうか。
③ なにかできる検査、治療はありますか。今後は採卵、着床前診断、正常胚の移植、を繰り返すしかありませんか。

A   
① 確かに、2個とも異常とは考えにくいですので、残された可能性は「着床の窓のズレ」あるいは「着床の窓が狭い」ことです。たった半日のズレでも上手くいかない方がおられます(判定陰性あるいは化学流産)。着床前診断の胚はハッチングしていますので、通常より半日から1日遅く移植した方が良い場合があります。
② 分割胚と正常胚4BCの2段階移植をお勧めします。
③ ビタミンDの検査はされていますでしょうか。25-OHビタミンDが低下している場合には、着床率が低下することが報告されています。