肥満で子宮内膜のタンパク質の発現パターンが変化 | 松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

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生殖医療に関する正しい知識を提供します。主に英語の論文をわかりやすく日本語で紹介します。

本論文は、肥満で子宮内膜のタンパク質の発現パターンが変化することを示しています。

 

F&S Sci 2022; 3: 367(米国)doi: 10.1016/j.xfss.2022.06.002

要約:2019年健康な正常体重(BMI 18.5〜24.9)の女性6名(平均年齢26.3歳、平均BMI 22.1)と肥満女性(BMI>30)6名(平均年齢30.7歳、平均BMI 37.8)を対象に、卵胞期子宮内膜を採取し、子宮内膜のタンパク質発現をLC/MS法で検討しました。なお、卵巣機能不全、子宮筋腫、子宮内膜歩リープ、PCOS、卵巣予備能低下、抗がん化学療法、3ヶ月以内のピル服用の方は除外しました。2群間で有意差を認めたのは17種類のタンパク質であり、肥満女性で2個が増加、15個が減少していました。減少した中に黄体ホルモン受容体(PR)が含まれていました。

 

解説:本論文は、2022.12.12「肥満で卵胞液中のタンパク質の発現パターンが変化」でご紹介したグループからのものです。本論文は、肥満で子宮内膜のタンパク質の発現パターンが変化することを示しています。減少した中に黄体ホルモン受容体(PR)が含まれていましたので、着床率低下と直接関係してきます。肥満女性では、子宮内膜の機能が変化していることを示唆します。

 

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BMIについては、下記の記事を参照してください。

2022.12.12「肥満で卵胞液中のタンパク質の発現パターンが変化

2022.10.14「☆ライフスタイルによる体重減少の効果:メタアナリシス

2022.4.25「☆女性のBMIは異常胚とは無関係

2021.12.5「BMI増加で胚盤胞発生動態は?

2021.11.21「☆BMI高値で不育症リスクが増加!?

2021.9.28「BMI高値は受精卵の染色体異常とは無関係

2021.7.21「☆女性の肥満で流産率が増加

2021.5.5「女性のBMIは卵子に影響?着床に影響?