最近読んでよかった本 182 | 松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

生殖医療に関する正しい知識を提供します。主に英語の論文をわかりやすく日本語で紹介します。

最近読んでよかった本を簡単に紹介します。

なお、紹介の順番は五十音順にしています。

 

私のブログでは月2回本の紹介をしています。

何故本を紹介しているかについては、2016.9.29「「最近読んでよかった本」の新たな効能?「ニュートラルな気持ち」へ!」をご覧ください。

 

 

「アイネクライネナハトムジーク」伊坂幸太郎
奥さんに愛想を尽かされたサラリーマン、他力本願で恋をしようとする青年、元いじめっこへの復讐を企てるOLなど、恋愛がテーマの連作短篇6話。全く繋がりのない登場人物が見事に繋がり、前後する時系列が見事に着地して、すべての伏線が回収される。さすが伊坂幸太郎。第1話と第2話は斉藤和義さんの曲の作詞の代わりにできた作品で、斉藤和義さんの歌で映画化されました。

 

 

「アンハッピー・ウエディング 結婚の神様」櫛木理宇

幼馴染の「史郎」を一方的に恋慕い、結婚を夢見る「咲希」は、ひょんなことから結婚式の代理出席者であるサクラのバイトをすることになる。サクラを頼むだけあって、出席する結婚式はどこか不穏なものばかり。自殺した花嫁の幽霊が出るという、いわくつきの老舗ブライダル会館で問題が頻発すると気づいた咲希は、史郎とともに謎に巻き込まれていく。ミステリー+ドタバタコメディの作品はホラー一辺倒の櫛木理宇っぽくないですが、こんなのもありかという感じです。

 

 

「希望が死んだ夜に」天祢涼

川崎市の中学二年生「冬野希(ネガ)」が、クラスメイト「春日井のぞみ」を殺害した容疑で逮捕された。ネガは犯行を認めながらも「あんたたちにはわかんない」と動機を頑なに話そうとしない。事件を担当する刑事部捜査一課の「真壁巧」は、生活安全課少年係の「仲田蛍(ほたる)」とともに真相を追い始める。ネガは、母親の映子と川崎市登戸のボロアパートに暮らしているのだが、母はあまり働かなくなり、生活保護も断られ、居酒屋でバイトを始める。一方、優等生で美少女ののぞみ。対照的な二人の関係はどうなっているのか。捜査が進むと、意外な真実が浮かび上がってくる。とても悲しいお話です。読了後「希望が死んだ夜に」というタイトルに考えさせらます。仲田・真壁シリーズ一作目です。

 

 

「100万回生きたきみ」七月隆文

高校生の「安土美桜(あづちみお)」と「三善光太(みよしこうた)」の恋愛は今始まったのではなく、2500年前からの想いだった。当時は「ミアン」と「タラニス」。呪いのため20歳で死ぬ運命を背負ったタラニスは、時にはヒト、時には動物や植物、様々な人生を歩み100万回生きながら、ミアンを探していた。やっと出会った二人にも20歳で死ぬ運命が容赦無く襲いかかる。果たして、この難局を打開することができるのか?場面(時代)が目まぐるしく切り変わるため、理解が難しいところもありますが、2500年の恋を描いた青春ファンタジーです。

 

 

「ブラック・ショーマンと名もなき町の殺人」東野圭吾

東野圭吾、久々の文庫本新作。コロナ禍の寂れた町で、多くの教え子に慕われる元中学校教諭「神尾英一」が殺された。娘の「神尾真世」と元マジシャンの叔父「神尾武史」が犯人捜しに動き出す。犯人は、教え子である真世の同級生の中にいるのか否か。コロナ禍に苦しむ町を舞台に、新たなヒーロー「黒い魔術師」が人を喰ったような知恵と仕掛けを駆使して、犯人と警察に挑む。痛快な作品です。