Q&A3918 36歳、3人挙児希望 | 松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

生殖医療に関する正しい知識を提供します。主に英語の論文をわかりやすく日本語で紹介します。

Q 36歳、1年前にAMH 3.34、第1子の不妊治療中、既往歴なし

24歳でPCOSを指摘され、ヤーズ内服開始、35歳で入籍しヤーズ終了、タイミング法や人工受精を試すも妊娠せず


自然周期系のクリニックで昨年6月に6個卵胞育ち5個採卵、4つ受精卵凍結しました。そのあとレトロゾール周期で用量増量しても卵胞育たずホルモン補充周期で移植→心拍確認できるも7週で流産しました。残り3つ胚盤胞残っています。第1子から不妊治療している私の知人はほとんど、第2子、第3子は第1子の採卵で残っていた受精卵を移植して出産しています。それを知り、私はもともと子供は3人ほどほしかったので、残り3個の受精卵では第3子までいけるかわからず、貯卵したいと思いました。なので先月は自費で採卵しました。
 

①今回4つしか卵胞が育たず3つ採卵するも1つ変性卵、1つ未成熟卵であり受精できたのが1つのみでした。昨年6月は4つも胚盤胞ができたので、なぜこんなに減ってしまったのかショックです。担当医は周期によるというのですが、今後またたくさん採卵できることはあるのでしょうか。第3子の分まで貯卵したいものの、これでは途方に暮れてしまいました。私自身、早く移植再開したい気持ちもあり、また周囲は「まず第1子産んでから第2子、第3子のことを考えたら?」と言いますが、やはり加齢による影響が心配でいま貯卵しておきたいという気持ちの方が強いのです。先生はどうお考えですか。
②生理3日目のFSH 0.3〜0.5です。内分泌負荷試験までして、潜在性高PRL血症と指摘されましたが未治療です。クロミッド内服で生理8日目には20とかまで上昇しますが、卵胞が育つのは遅めです。この微妙な下垂体機能低下は放っておいて良いのでしょうか。またこの下垂体機能低下の原因はなぜなのでしょうか。昨年タイミング法や人工授精を試していた時は自然排卵していたので(このころのFSH不明)、体外受精で処方されるプラノバールが原因かなと個人的に考えたりしますが、その可能性はありますか。先日もクロミッド5日内服のみではゴナールエフ注射しても卵胞13㎜から退縮してしまいました。クロミッドを10日以上内服&ゴナールエフ注射すれば排卵しますが、レトロゾール(用量増量しても)では卵胞は育ちませんでした。
③初回の移植で妊娠には至りました。周囲は妊娠できるってことがわかってよかったねと言ってくれますが、今後の見通しは、明るいという気持ちを持っても良いのでしょうか。

 

A 

①人間の身体は機械とは違い良い周期と良くない周期がありますので、担当医のおっしゃる通りです。しかし、AMHが激減することがあるため、まずはAMHを再検査してみるのが良いと思います。また、蓄胚(貯卵)しておきたいのでしたら、刺激周期でしっかり卵胞を発育させるのが得策です。AMH 3.34あれば、10〜15個は採卵できると思います。
②ベースラインのFSHが低くても、卵巣刺激で増加するのであれば、全く問題ありません。なお原因は不明です。通常、リセット薬のプラノバールは7〜10日程度の服用であれば抑制はかかりませんが、ご心配でしたら一度服用をやめてみるのもありです。クロミッドで卵胞数は増えますが、レトロゾールでは増えませんので、数を多く目指す場合にはクロミッド+HMG/FSH連日投与が良いです(刺激周期)。
③はい、その通りです。また、流産周期があると半年くらい治療が遅れます。流産1回では不育症とは言えませんが、流産を回避するために、不育症検査もしっかりやって対策を取っておくのが良いと思います。

 

なお、このQ&Aは、約3週間前の質問にお答えしております。