営業において一番重要なものは何ですか?

と質問されたら私は「ヒアリング」だと答えます。


前編でもお話しましたが、営業の3つの要素。

ヒアリング・プレゼンテーション・クロージング

この中で一番大切なポイントがこの「ヒアリング」なのです。


ヒアリングとは何か?文字通り相手の話を聞くことです。

しかし、相手の話を聞くと言っても、ただ単に話をすればよいのではなく、

あなたが売りたい商品にとって都合の良い答えを聞く事ができるか。

それがとても重要です。


あなたが車を売る営業マンだったとしましょう。

ショールームにお客さんが来ました。

私は車を販売した経験が全く無いので本当の営業トークとは違うのかもしれませんが、

私なら下記のような質問を投げかけると思います。


①今日はどのような交通手段でお越しになられたのですか?

②何処でこのショールームの事を知ったのですか?

③今どんな車に乗っていらっしゃるのですか?

④何年位乗っているのですか?

⑤お休みの時はどう過ごしているんですか?


大体こんな感じですね。ぱっと思いついた内容ですけど。


商品を売るときは、その商品の特徴を覚えるよりも先に、

その商品にとって都合の良い質問を考える習慣を持ちましょう。


しかし、ただ、質問すればよいという訳ではありません。

警察の職務質問みたいに聞くのではなく、さりげない会話の中にこのようなポイントを盛り込むのです。


相手は何処に住んでいて、現在車に乗っているのか?

単なる冷やかしなのか?本当に買う気があるのか?

休みの日に誰と車を使うのか?子供なのか?彼女なのか?奥さんなのか?


お客さんはどんな商品を買うときにでもその商品を買う理由が欲しいものです。


最終的にお客さんが買う商品は何なのか?

本当に薦めるべき商品は何なのか?


それを判断するために十分なヒアリングを行う必要があるのです。


車を売る場合特に重要視されるのは、その車を使ってお客さんが何をしたいのか?

というイメージをきちんと聞くことです。


例えば家族の居ない独身男性に大きなワゴン車を薦めてもダメですし、

全く買うことの出来ない、高級車を薦めてもダメです。

逆にお金持ちのお客さんに大衆車を薦める事は逆に失礼に当たるケースも考えられます。


出来るだけ自分に有利になる情報を得る為にヒアリングを行うのと同時に、

お客さんが買わなければならないという理由をお客さんの口から喋らせるのです。


「古くなってきた」

「子供たちが大きくなってきた」

「子供たちの手が離れてきた」


そんな答えが聞ければBESTです。


最終的なクロージングの段階で、その質問が大きく生きてくるのです。

お客さんは営業マンが薦める事は幾らでも否定できます。

でも、自分で発した言葉はなかなか否定できません。


ヒアリングの段階で

「その車の必要性」を喋らせられるかどうかがポイントなのです。


そして、その質問の仕方で絶対に守らなければならないルールがあります。

それは、

■YESかNOで答えられる質問をしてはいけない。■


という事です。


例えば、プロ野球で松井秀喜選手がサヨナラホームランを打ったとしましょう。

誰が見てもど真ん中のストレートです。

その時インタビューするアナウンサーが

「松井選手。打ったのはど真ん中のストレートでしたね?」

と聞いたら、松井選手は

「はいそうです」

としか答えられません。

これだと、会話が弾みませんよね。


誰が見てもど真ん中のストレートだったとわかってもここはあえて、

「松井選手。打った球はどんな球でしたか?」

と聞くべきなのです。そうすれば松井選手は

「ど真ん中のストレートでした。思い切って振りました。」

と答えてくれるかもしれません。

その後も会話が弾んでいくかもしれません。


観客として聞いているほうもただ単に、はい。としか答えないインタビューは非常につまらないものになってしまうでしょう。


以上、ヒアリングの極意でした。