激闘続きだった2007-2008年シーズンも ようやく終わりを迎え始めた。

スペインではレアルマドリッドが連覇を果たし、イングランドプレミアリーグではM.ユナイテッドが強さを見せた。
イタリアでは(最終節の結果次第だが)インテル、ローマが堅実さを見せ付けた。

そして激戦につぐ激戦の末、欧州チャンピオンズリーグではM.ユナイテッド VS チェルシーというプレミア対決の決勝を待つのみとなっている。

この2チームはリーグでもそのまま1,2位となっており、リーグ自体のレベルの高さを叫ぶ声は日増しに強くなっている。

それとは対極に、スペインのリーガエスパニョーラでは、優勝したレアルもCLでは早々に敗退しており、リーガ自体の低下が揶揄されはじめた。
そもそもバルセロナに見る大型補強の失敗例は、過去を紐解けばそのままレアルマドリッドに当てはまる。

翻ってアーセナル、リバプールといったプレミアの競合は、彼らほど無差別に集めることなく強豪の地位を確立している。


だが、これだけを切り取ってリーガの衰退を叫ぶのは尚早だ。
バルサやレアルは自らの育成機関を持ち、多数の選手を輩出している。
技術が低下しているとは思えない。

時代は流れるものだ。
数年後には守備偏重の再びイタリアが覇権を叫んでいるかもしれないし、その数年後にはドイツの規律が制しているかもしれない。


問題はスペインやバルサの終焉をカタストロフィーに添えて語るべきではない。


スペインは今も技術を崇拝し、イングランドは勇猛なプレスとワイドで早い展開に憧れる。イタリアは今も1-0を目指し、ドイツは90分を越えてもなお集中力を見せ付ける。


過去のどんなサッカーにも正解は無い。
そして未来のどんなサッカーにも答えは無い。

だからこそ 魅力あふれる試合が、予測の付かない展開を幸せに迎えられるのだ。
マスコミがこぞって煽り立てるバルサの落日は、今の時代が流れの速い時代だということを再認識させられる。

次々に「もっとも強いチームはどこか?」「至上最高の選手は誰か?」といった最強論が唱えられる。
もともと至上最高の選手など、毎年生まれるものではない。

各チームが何十年もかけて築いてきた哲学や魂はそうそう失われるものではない(と信じたい)


大体バルセロナはCLでベスト4に残り、リーガでは3位(※現時点)なのだ。
いったい何処が失敗の年なのだ?と疑いたくなる。
投資した額に見合う結果が得られるのなら、最初からリーグ戦など戦いはしない。
また来年に向けてじっくりと戦略を練ればいいではないか。
幸いにもすばらしい選手は潤沢に生まれてきている。

ここ数年の若年層のレベルアップは目を見張るものがある。
ルーニー テベス、Cロナウド、メッシー ボージャン イグアイン
アグエロ、リべリ、セスク・・・
23歳以下の名を上げるだけでもそうそうたる選手達だ。

少しでも巧くいかなくなるとチームからは不協和音が聞こえ監督の解任論が紙面を騒がせる。
なんとも 慌しい時代になったものだ・・・

もう少しゆっくりと数年、いや数十年かけても、自分の人生の一部のように、過去の名選手について語り、今の選手について希望を持ち、明日の覇権を夢見る・・・そんな ロマンがフットボールには在って欲しいものだ。


まもなくユーロが開幕する。


もう少しゆっくりと流れる時間を見つめ、各国の「色」を堪能しながら、次のワールドカップの予想でもしながら観戦しようではないか。


フットボールは今 至福の時代の中に在る。


殺伐と、嘆くべきときは 今ではない。