2022年カタールW杯が終わった。

 

何を今更?

 

今日はもう12月28日だ。

あの白熱の決勝から約2週間は経っている。

 

日本代表フィーバーだったテレビも、喧騒はどこへやら。

今は年末だ、年始だの特番ばかり。

変わり身が早いのは日本の特徴かもしれない。

 

あれだけ熱狂したW杯はもうどこ吹く風。

ハロウィンではしゃいだら、クリスマスだと騒ぎだて、

その1週間後には(おごそかに)除夜の鐘を聴きながら

「はっぴーにゅーいやー!」と叫ぶ民族はおそらく世界のどこにもいないだろう。

 

そうW杯は終わったのだ。

もうどこか遠い夢の中のようなあの日々。

 

ドイツに勝ってどれだけの人が涙しただろうか?

コスタリカに敗れ、どれだけの人が憤慨したか?

そしてスペインに勝利し、日本を称え、賞賛の嵐が吹き荒れた。

クロアチア戦はまさに「悲劇のヒーロー」たる負け方だった。

 

立派に戦い、そしてPK戦で敗れた。

誰も戦犯を作らない負け方はある意味で理想的な大会の去り方だったのかもしれない。

 

そのクロアチアはブラジル相手に、底力を見せつけ、PKの末に勝利し、アルゼンチンに負けた。

アルゼンチンはフランスとの死闘の末に、稀代の選手「メッシ」の初栄冠というフィナーレを飾った。

 

このW杯は、何というか。

どこか理想的すぎた。

 

あまりにも理想的な展開。

ドラマに描いたようなシナリオ。

誰もがわかりやすく熱狂できる筋書きのないドラマ。

 

日本にとってはクロアチア戦での「悲劇の主人公」は琴線に触れる出来事だったし、

サッカーファンにとっては、神の子メッシが神になった瞬間を目撃した事は、

語り継ぐことのできる歴史だった。

 

 

これだけ数え上げてもキリがないようなW杯は久しぶりだ。

(これは個人的な意見だが)

 

僕はW杯が終わると数ヶ月はもぬけの殻となっていた。

何が足りないのか、どこがダメだったのか。

世界の強豪とはいかに遠く、高い壁なのか。

 

そして自分の好きな選手たちが、ここからまた4年間もの時間をかけてそこに挑戦し、

4年後選ばれる保証もない「代表」という枠を巡った争いと、W杯出場を賭けた苦しい戦いが始まる。

それを思うと何とも非情なものだ、、、と感じていたからだ。

 

しかし今回はちょっとだけ違う。

 

4年後はW杯の仕組みそのものが変わる。

出場権ももう少し容易になるだろう。

しかしそれだけが原因ではない。

 

 

何だろう。

 

W杯という「世界最大の大会」にようやく日本が「当たり前に参加している」と感じれたからだ。

 

初めての挑戦はお客様扱いだった。

アルゼンチンに適度にあしらわれ、1勝もできずに去った。

自国開催では夢を見れたが、環境に恵まれていた。

ブラジルやドイツW杯では自分たちの力を正面からぶつけ何も出来ずに敗れた。

南アやロシアでは、仕方なく戦術を変えながら耐え忍んで一瞬の隙をついて勝ち上がった。

 

歴史ある大会の中で、日本がちゃんと戦えた!と思えた試合などほとんど無い。

紙一重の試合だらけだったし、運がなければ勝てなかった。

 

それはこのカタールでも同じなのだ、、、、が

 

相手が違えば、内容が違う。

 

これまでの日本はベストの11人がようやくギリギリで決まって

その選手たち+2名ほどのスーパーサブがいて、ようやく対抗していた。

だからトーナメントに上がる頃にはボロボロになっていた。

 

この大会は始まる前からボロボロだった。

守備の要、板倉冨安は怪我からの復帰直後だし、

SBの中山は緊急離脱。

三笘もギリギリの合流の上、FWの軸は居ない。

 

これだけ不確定要素のあるまま大会に突入したのは初めてかもしれない。

 

 

だからこそ良かった。

 

日本が「日本という総力戦」でここまで来れたのだ。

誰がレギュラーか?という話はこの大会で聞こえなくなるだろう。

 

そう最初の11人が誰よりも序列が上、なんて事はないのだ。

コスタリカ戦でメンバーを変えたのも良かった。

 

ようやく、日本が日本の総力戦としてW杯に挑み、そして決勝Tまで進めた。

僕はこの大会を誇りに思う。

 

 

三笘の涙も、南野の涙も。

 

PK戦を「悲劇のヒーロー扱いするな」という声も聞こえる。

 

 

いいじゃないか。

 

彼らは英雄だった。

 

 

彼らは英雄なんだ。

 

 

国を代表してあの舞台で戦ったものへの賞賛を惜しむ必要はない。

 

 

足りなかったものがある。

 

そんなことはわかっている。

だからまた取りに行くんだ。

 

そして4年後

まだ、鎌田大地がその中心に居たら僕はきっとただ泣くだろう。

 

「サッカーを見る」なんてそんなことで良いのだ。

 

そこに難しい話や、偉ぶった理論はいらない。

 

僕はそこで躍動する、大好きな選手が、W杯で世界を相手に戦う。

その姿を見たい。

 

それだけなんだ。

 

その姿が見れたら、僕は誰よりも幸せだと言える。

もっとも待ち望んだ瞬間を目にする事が出来たのなら。

 

 

そういう意味で今回カタールで

ドイツや、スペインとの試合を見た人は、もう勝者だろう。

 

現地に行った人 お疲れ様。

そしておめでとう!

 

 

嬉しさも悲しさも悔しさも

全てが詰まったW杯だった。

 

これがW杯なのだ!

 

と10年後も20年後もドヤ顔で語り継げるだろうさ。

 

 

それこそが僕が大好きなサッカーというものの魅力なのだから。

 

 

サッカーと出会えて良かった。

 

 

そして、やっとこの大会が終わった事を

 

2022W杯が終わったことを

受け入れて

 

また4年後に向けてがんばろうと思う。