著者: 山田 宗樹
タイトル: 嫌われ松子の一生 (上)

映画化。主演 中谷美紀の帯を見て買った。

題名からして、一体どんな話だろうか。

いきなり、松子の死亡記事。

嫌われ松子は嫌われたまま死んでしまうのか。


松子は、福岡の中学校教師であった。いきなり、校長と修学旅行の下見に行き、セクハラまがいの行為を受ける。

実はこの時点で、読むのを辞めようかと思った。先が見えすぎだと思ったが・・

その後、修学旅行で万引きをした生徒をかばってから、転落につぐ転落の人生を送ることになる松子。

まず、せっかく得た教師の職を辞職し、実家を飛び出す。同棲を始めたさえない小説家志望男は自殺する。その友人の愛人となるも続かず、中州のトルコ嬢に身を落とす。そこで知り合った男と一緒になろうとするが、結局騙されて、その男を殺してしまい、服役。その後、美容師に転身する。そこで、やくざになった教え子を愛してしまい、同棲する。覚せい剤。2度目の服役・・・


松子の不幸の始まりは、障害のある家庭の悲劇なんだろうか。妹ばかり気にかける父。その父から愛されたいが故に教師となる。その後の松子の一生は、常に愛されたいがために自らを犠牲になっていく。求めているのは小さな幸せなんだろう。松子の愛は、その強さゆえに男性が逃げ出していくのだろうか。

結局松子は誰からも愛されなかったのだろうか。


その好対照な存在としての明日香。恋人笙とではなく、自分の行き方をはっきりと持った明日香は、他力的な”松子”の悲劇は繰り返されない。

そこに新しい女性の姿も感じられた。