真保 裕一
誘拐の果実 (上)

軽い読み物割りに、今ひとつ先に読もうという気がしないのはいつものことだろう。

上巻においては、明らかに最初から、孫娘を疑ってしまうような展開であった。これは、著者が伏線としてそういう風に読者に感じさせていたのだろうか。いっこうに犯人の姿が見えない誘拐においては、やはり誘拐された者を疑えというのが鉄則だろう。

次に、2つ目の誘拐事件が発生する。明らかに、こちらも容疑者が見えない。警察があまりにも騙されすぎやしないだろうか。

子どものいたずらにしてはづがすぎる。所詮小説の戯言だろう。

神保裕一さんは、まあミステリー作家中堅どころなんだし、結構のこの作品は、評判がよかったらしいんだけど、8年後のおまけは、ひどすぎる。所詮、メロドラマの読むすぎだろう。あまりにも、若い二人が善人にしようとしすぎていないだろうか。ミステリーの女王アガサ・クリスティのミステリーのような人間が描いて欲しいと思う。もっと、人間はどろどろしていやらしい一面があるのが真実のような気がする。