相談所での紹介に、早々打撃を受けて、もっと可能性を広げるべきなんだろうと、婚活サイトに登録した。
9月初旬に行った出張時に会った級友に、「ネットの出会いだって一つの入口だよ」と、肯定的で、ちょっと試してみようと思った。
登録するとすぐに、ポツポツと申込が入った。
全然エリア外の人からだったり、50代だったりと、最初「あーやっぱりこういうもんか・・・」と、いったん落胆してたところ、また入ってきた申し込みが、とてもまともな文章で、好感が持てた。
同い年で、これはいいかも!と思って、その人のプロフィールをよく見ると、・・・全然エリア外。
初めっから遠距離なんて絶対無理、と思った。だけど、その人が「距離は離れてるけど、どうにかカバーしたい」みたいな、すごい前向きな感じだったので、とりあえずメールだけでもしてみるか、と、申し込みをOKした。
ケンイチさんとのメールは、とても波長が合って、あっという間に私は乗り気になった。
向こうもかなりの乗り気で、間もなくケンイチさんが、「そっち方面に出張で行くから、会いませんか」と言ってきた。
待ってました!とばかりにOKして、対面の日を迎えた。
一応メールの時点で写真は交換したんだけど、実際は写真より数年老けてた。多分ちょっと前の写真だったんだろうと思う。
2人となれば私はしゃべりはリードできるので、どんどん話題を広げて、沈黙のないよう、楽しく話をするよう努めた。
頑張って話をしてるんだけど、メールの時のときめきはなかった。
ケンイチさんはエンジニア系。多分、女性とのお付き合いはしたことないんだろうな、という感じの人だった。
なんというか、文字では表せない、独特のエンジニア系の雰囲気。
すごい話を合わせてはくるんだけど、・・・全然、ときめかないのだ。
メールでは決して分かり得なかった部分も、かなりマイナスだったな。
例えば、ハンカチ。なぜか、すごい端がほつれた日本手ぬぐいみたいの持ってた。
あれは何だったんだろう・・・
あと、爪伸びてた。汚かった。
男としての魅力はゼロだった。
喫茶店と、あと夕食のレストランも行ったけど、完全割り勘。
向こう払う気一切ナシだった。
私は、割り勘はいいんだけど、やっぱりちょっとくらい、男としてカッコつけてほしいのかな。
伝票を私に持たせてレジまで向かわせるのは、やっぱり幻滅した。
ケンイチさんは、そんなしっかり者の私にはかなり好感を持ったようだった。
でも、私がもうその気になれないので、そっけない返事しかしなくなり、それで察してはくれたよう。
最後は名残惜しそうに、「ゼロか1なんですかね・・・」とつぶやいていた。
そうでしょうね。特に遠距離の場合。友達で、ってぶら下がってても何もいいことないと思った。
全く知らない者同士がこれから分かり合いましょうっていう時に、遠距離を乗り越えてまでも、って思えるほどには、やっぱりなれなかった。
帰りの電車で、私はひどく落ち込んだ。
ものすごい期待して会いに行って、期待を完全に裏切られたから。
ケンイチさんと会っていて、時間が経つにつれて、道を歩いていても、コーヒーを飲んでいても、元彼のことが思い出されてならなかった。
元彼は、計画が周到で、ケンイチさんみたいに道に迷ったりしなかった。
コーヒーだろうが、レストランだろうが、私に払わせるなんて考えがなかった人だった。
ケンイチさんが、元彼をしのぐ人だと期待して会ったけど、完全に、元彼が全てにおいて勝っていた。
途中から、比べてしまって仕方がなかった。
なんで、今隣で歩いてるのが元彼じゃないんだろう、って思ってしょうがなかった。
帰宅して、ベッドにゴロンと横になって、何とも言えない気分を抑えきれず、ただ涙がとめどなく出てきた。
なんで、あんなに好きだったのに、別れなければならなかったんだろう。
あの人以上の人なんて、やっぱり出てこないんだ。
そんなことを考え出したら、涙が止まらず、しゃくりあげるまでの号泣となった。
この時点で、婚活始めてまだ1か月。
かなりくじけて、もう婚活止めたい、ってそれ以来ずっと思っている。
でも、続ける理由・・・
「子供が産みたいから」
これが、すごく正しくない気がしてきて、気持ちが苛まれている。