「ねえ きみ」 坂本 光男


ねえ、きみ、お母さんを知っているかい。

きみが生まれたとき、病んだとき

眠らずじっとそばにいて

心を痛めていたのがお母さんだ。


ねえ、きみ、お父さんを知っているかい。

夜中に、どんなに遅く帰ってきても

きみの寝顔をそっとみて

黙って床についていたのがお父さんだ。


ねえ、きみ、友だちを知ってるかい。

平気でいつも楽しそうだけれど

誰もが一つ以上の悩みをかかえ

こらえながら頑張っているのが友だちだ。


ねえ、きみ、自分を知っているかい。

たとえ勉強やスポーツが苦手でも

かならず二つ、三つは、自慢できるものがある。

それに気づいていないのが自分なんだ。


ねえ、きみ、生きるって知ってるかい。

きみの中にあるその自慢できるものを

どれでもいいから輝かせてごらん。

それがきみにとって生きることなんだ。


ねえ、きみ、生命(いのち)って知ってるかい。

きみがもし死んだら、親も友だちも泣く。

かけがいのないタカラモノだから。

生きられるだけ生きてこそ生命なんだ。


ねえ、きみ、未来って知ってるかい。

どうなるかわからないこれからを

きみの知恵と力で切りひらく

そのわくわくする冒険が未来なんだよ。







久しぶりのゆったりな休みなので

長女の中学の時の学校関係のプリントを整理したら

卒業式の日に担任から配られたものがありました。

それが「ねえ きみ」と言う詩。

卒業生を送り出す時に必ず生徒に

贈る言葉として読むそうです。

親としての気持ちがすごくわかりやすく表現されてるとともに

担任の先生の生徒への愛情が伝わりました。


ちなみにこの詩は

「本当に頑張った生徒(クラス)にしか読まない」

・・・と言っていましたが

さて再来年の次女の卒業式には読んでもらえるのかな??