僕も、会社が傾いて

ボンだから何も出来ず

「死ぬことで」解決しようと思っていた

時期があってね・・・。

僕は、

『いいよ、教えてやるから

うちに来い、

いまから、うちで死に方を教えてやる』



泣きじゃくる田中専務を車に乗せて

社長の家とは反対の北に走らせた。



ただ黙って いた。

ついたのは浜田の波子という海岸だった。

ただ黙っていた。

車を降りて

春の海岸を眺めていた。


それでも数時間が過ぎると

もめた会社のことや

自分の会社への連絡などが

気になり始めた。


「タバコをとってくるよ」

と携帯を握って車に戻ろうとしたとき




田中専務が

「・・・・・」と

何か口を開いたという。

そこで田中専務はこの2年のことを

少しずつ話し始めたのだった。


私は、その場所に戻って

話を聞かなければ・・・

いや

この男に何があったのかと

興味半分で横に座った。


・・・・・・・・・・




私はお昼ごはんを頂きながら

予想外の重い話に

戸惑っていた・・・。

けれど、社長の表情は暗いものではなくて

通り過ぎた彼の経験を抱え、

彼との関係に信頼と自信があるように

「誇らしげ」でもあったから


1時間を過ぎていたけれど

次の予定を延ばしてもらい


ゆっくり聞かせていただくことにした。