最近、呉の街を通って客先に行くことが多い。


石川島播磨重工の海辺を見渡して、造船所を確認して島に渡る。



友人が広島に来た時に「私のテンションが上がる場所」として

一番テンションを上げて紹介できるのは

「歴史のみえる丘」からみる造船所


けれど、この最近気が付いたのは


「なぜ造船所でテンションが上がるのか」ということ。

そう考えてみれば・・・

仕事で冴えない想いをすれば、

この場所で、ただ「造船」を眺めることで「やる気」がムクムク湧いてくる。


船が好きなわけでも

造船に興味があるけでもなく


「血が騒ぐ」この感じ・・・



だけど、ある時会社の近所にあるお寺に

こんな書き物が・・・・


アルファ B side

「お前がもしこの先芸能界で当たらなくても、

お前がちゃんとガキに伝えてやれ、

そしたらお前のガキが何かしら当たるかもしれない。

そのガキがだめでも、お前の教えを覚えていて

子供がその子供に教えて言っていつか当たる。

それで当たっているのが今の俺なんだ。

それが教育だ。    ビートたけし



遠い昔、父に手を引かれて大きな屋敷の前で立ち尽くした。

「ここがお父さんの家だったんだ」

「でも、もう違う人の家なんだ」と


祖父は手広く造船所を経営し、失敗し、すべてを無くした。

祖父たち家族は夜逃げをして横浜へ

父は「自営業の怖さ」を目の当たりとして

勉強をして大きな企業に入り、

私たち兄弟に「会社員になつて堅実に生きるように」と

強く言った。



造船所  だった。



祖父の造船所、父たちの家だった場所で

いつも私たち兄弟の手を立ち尽くした父



そう、造船所 だった。



堅実に生きるようにと言いながら

父が私たちに伝えていたのは

祖父の無念と手放してしまった諸々への愛着で


「堅実に生きるから」と答えながら

そうではない

相反する本当の父のDNAを

私も弟も引き継いでしまったのかもしれない。


「もう、いい加減に自営などやめないと・・・」

と言い続ける父



DNA



造船所を道路から見渡して



「よし、今日もがんばろう」と思う。


血は、脈々と・・・・