1月27日(木)東京・恵比寿にあるイベントスペースにて、2月11日(祝・金)愛知県体育館で開催される『ハッスル7』で小川直也と対戦する「インリン様プロレス・デビュー記者会見」が行われた。会見にはインリン様を目に入れても痛くないほど溺愛している、高田総統も特別に出席した。

会見場は異常な興奮に包まれていた。テレビカメラがズラリと並び、用意されていた記者席も早くから満席。注目度の高さが伺われる。会見に先立ち、笹原GMは
「先日、2月11日に愛知県体育館で開催される『ハッスル7』のカード発表を行い、インリン様のプロレス・デビューを発表したところ、大変な反響を頂きました。そこで高田モンスター軍より、ぜひインリン様がプロレス・デビューにあたり所信表明をしたいとの申し出がありました」
と説明。しかし、話の途中で島田参謀長とアン・ジョー司令長官がさっそく乱入!会見を仕切り始めたのだ。
「いつものむさ苦しいプロレスマスコミ以外も、メニーメニー来てますね」
とアン・ジョー司令長官。島田参謀長は
「マスコミの皆さん、キミたちは非常にラッキーだ。今日はインリン様の会見という事で、高田総統もお見えになっている」
と、高田総統の来場を告げた。ここで二人は
「拍手で出迎えろ」(島田)「ハンドクラッピングね」(アン・ジョー)
とマスコミに拍手を強要するが、反応は今ひとつ。当然だ、リストラ寸前の二人の言う事など、誰が聞くもんか。『威風堂々』のテーマ曲に乗り、颯爽と姿を現した高田総統は、ステージに仁王立ちし、バッチリ写真に収まる。そして着席すると記者席を見渡し、
「本当に拍手が少ないな。まあいい、私は拍手は嫌いだ。ブーイングをくれたまえ」
と言うが、やはりブーイングもなし。
「ブーイングもないか」
と高田総統。それでも動じた様子はない。
「しみったれたマスコミの諸君、ご機嫌いかがかな?私が高田モンスター軍総統の高田だ」
と、いつもどおり皮肉タップリの挨拶を行い、
「こう見渡してみると、今日はいつもと違うな。特別にスケベな記者ばかりがここに集まったようだ」
とまるで記者たちの胸の内を見透かしたような発言!高田総統はさらに続ける。
「そこら辺にいる全ての諸君、なぜそうも目が充血している?興奮しすぎだ!リラックスしたまえ」
と注意を呼びかける。
「今日は私が可愛がっているインリンのために、こうして集まってくれた事は嬉しく思う。礼を言っておこう。ありがと」
と、まるで心のこもっていないお礼を述べる高田総統!
「すでに発表しているが来月、我が高田モンスター軍は大幅な人事異動を行う。正式な辞令は、2月8日(ハッスル・ハウスvol.4)に発表するとしよう。それよりまずは、島田!アン・ジョー!」
名前を呼ばれた二人は、直立不動に。冷や汗が流れ落ちる。場内は一転、緊張感が走る。
「先月行われた全面対抗戦の全敗を、忘れてはいないだろうな?お前たちにかかる責任はとてつもなく大きい。モンスター軍の掟は充分に分かっているはずだ。覚悟は出来ているだろうな?」
最初の威勢の良さはどこへやら、ガックリと肩を落としてシュンとなってしまったアン・ジョー司令長官と島田参謀長。高田総統はなおも続ける。
「不甲斐ない二人に代わって、高田アマゾネス軍のリーダー・インリンをこの私の右腕とする。すなわち、高田モンスター軍のナンバー2に昇格させる事に決めた」
と自らの口から発表すると、さらにガックリと小さくなってしまうアン・ジョーと島田。
そして高田総統は、
「『ハッスル7』ではインリンをチキン君と闘わせる。聞くところによるとヤツは勝つつもりでいるらしいが、いつものような調子で向かってきたのなら、2月11日の名古屋でヤツのプロレス人生は終焉を迎えるだろう」
と不気味な予告を行った。
「さっそくだが、インリンを諸君にお披露目しよう。姿を現すがいい!」
高田総統が呼び出すと、SMの女王様を髣髴させるコスチュームで華麗にインリン様が登場!ステージ中央でポーズを決めると、一斉にフラッシュが焚かれる。
「マスコミの諸君、ワタシが高田総統の命を受けて、ナンバー2に昇格したインリン・オブ・ジョイトイ改め“インリン様”よぉ!これからはワタシの事を、インリン様とお呼び!」
と命令口調のインリン様。しかし、なぜか従いたくなってしまうから不思議だ。これがインリン様の“M字開脚ビターン”洗脳の効果なのだろうか?
「2月11日のハッスル7では、チキン小川直也を踏みつけてタップリと調教してあげますわぁ。期待してちょうだい」
と余裕タップリのインリン様。ここで質疑応答の時間となったが、場を仕切ろうとした司会の臼杵PRに、島田参謀長が牙を剥く!高田総統にいいところを見せようと、自分の保身に精一杯なのだろう。臼杵PRに向かって
「俺が仕切る!俺が高田モンスター軍のスポークスマンだ!」
と駄々をこね始めたのだ。笹原GMが
「臼杵に任せなさい」
と制しても、制止を聞かない。しかし、高田総統が
「はしゃぐな、島田!」
と一喝するとシュンとなってしまった。
臼杵PRは真っ先に手を挙げた、ハッスル実況中継でお馴染みの矢野アナウンサーを指名。まずはインリン様の試合コスチュームについての質問が飛んだ。
「当日はもちろん、勝負服よぉ!全てのファンを根こそぎ洗脳して見せますわぁ。見ないと絶対に後悔するわよぉ」
と色気タップリに答えるインリン様。果たして、勝負服とはいかなるものなのか?先日の後楽園ホールに続いて、名古屋のファンも悩殺洗脳される事は間違いないようだ。同じく矢野アナが質問。
「インリン様は見た目が華奢だが、プロレスの試合をして大丈夫なのか?」
とのもっともな質問だ。それに対して、インリン様は
「当然よぉ!」
と自信を露に。
「ワタシはチキンのように、分かりにくいカッコ悪い技は使わないわぁ。みーんな、ワタシの美しい技に洗脳され、悩殺されるはずよぉ」
とこちらも自信タップリ、お色気タップリに答えるのだった。
さて、次の質問…するとやはり、臼杵PRは矢野アナを指名。それまで大人しくしていた島田参謀長が再び、臼杵PRに食って掛かる。
「お前、あいつの事が好きなんじゃねぇのか?」
と爆弾発言!いきなり臼杵PRのスキャンダル疑惑が浮上だ!しかし、ここはインリン様の記者会見であり、とりあえず臼杵PRの事はどうでもいい。高田総統は
「まあ、よかろう」
と続いての質問を許可した。質問は高田総統へだった。なぜインリン様と小川を闘わせる事にしたのか、との質問。
「いい質問だ」
と高田総統はニヤリ。
「チキン君は総合格闘技という中では、世界最高峰の舞台であるPRIDE GPに出場したな。そして、その頃から大変なにわか人気が出た事は、ここにいる諸君も承知の事実だ。PRIDEという世界一シビアなリングに上がった事を、実は私は評価していたのだよ。しかし、チキン君は人気者になったことで自ら成長する事を止めた様だな。かつては副業だった事が本業になって、セコセコと精を出しているようだ。プロレスラーは強いだけではダメだ。笑いを取るだけでもダメ。中途半端は論外だ!敵に塩を送るわけではないが、インリンと闘う事でチキン君は総合とは違う、プロレスの可能性、奥深さを改めて知る事になるだろうな。インリンと闘う事にどういう意味があるのか、スター気取りの低脳チキン君はもちろんだが、マスコミの諸君もせいぜい、無い知恵を絞って考えてみるがいい!」
高田総統は相変わらずの、謎を含んだセリフを投げかけた。やはり、2・11『ハッスル7』では誰もが予想できない事態が起こりそうな予感だ!最後に、島田参謀長の提案で
「せっかくこれだけの人が来てるから、もったいないので」
との事で、インリン様が急遽、島田参謀長とアン・ジョー司令長官との特訓の成果を公開練習で披露する事になった。インリン様も
「まったく問題ないわぁ」
と乗り気。高田総統も
「島田、用意せい!」
と快く許可した。
島田参謀長は、小川の似顔絵入りのミットを用意。どうやらミット打ちを披露するようである。どんなパンチ、キックが飛び出すのかと思えば…何と、インリン様は鞭を片手にミットをシバキ始めた!
「このチキンめ!チキンめ!」
と憎しみを込めて叫びながら、一心不乱に鞭を振るうインリン様。会場からも
「いいなぁ…俺もぶたれたい」
と言う声が洩れたとか洩れないとか。あまりにも熱を帯びた鞭打ちを披露するインリン様に、島田もアン・ジョーも引き気味。制止を聞かず鞭を唸らせるインリン様。ロー、ミドル、ハイと各種の鞭打ちを披露したところで、インリン様のお怒りも収まったようだった。島田参謀長は
「腕がシビレる!」
と、その威力を語る。最後に、笹原GMより『ハッスル7』のメインイベントのカードが発表された。笹原GMがハッスル軍とモンスター軍個別に協議した結果、小川より
「素人に勝っても大人気ないから、こっちも素人を入れてやる」
との提案があり、ハッスル軍が
「小川直也、ハッスルなでしこHikaru、中村カントク」組VSモンスター軍が「インリン様、アリシンZ、島田参謀長の申し出により2月8日のモンスターロワイヤル優勝者」
組と決定した。インリン様の「M字開脚ビターン」は本番まで取っておく事になり、この日の締めはドゥ・ザ・ハッスル。高田総統は
「(大きく紙面で)取り上げたまえ!」
と言い残して会見場を去っていった。謎が謎を呼ぶ、インリン様のプロレス参戦。その実力は?真意は?そして勝負服は?『ハッスル7』はかつてないほどの注目度となりそうだ。