~出た!甲冑男~
甲冑男を探して町を探索。
うふふふふ、うふふふふ。
通信機だ。
コール音は以前と変わった。以前より幾分声のトーンが高くなっている。
みさとはみゆみゆによる”にゃあ”バージョンを追加してほしいとか言っていた。
私も賛成だけど、みゆみゆが恥ずかしがってるので実現には至っていない。
・・・話しがそれた。
「はい鈴城。」
「私。どう?それらしいのと遭遇した?」
「いや、オバケ屋敷なら目の前にあるけどな。」
「オバケ?ああそういえばそっちの方そんな建物があったわね。」
「そっちは?」
「ちとせ恋しいって泣いてるのが側にいるけど、特に変わった様子はないわ。」
泣くな恥ずかしい。
「じゃあまた何かあったら連絡する。」
「ええ。」
通信終わり。
「あっちの方は瞳美が回ってるから俺たちはトンネルの方へ行ってみよう。離れずについてきて。」
「うん。」
トンネルの方へ歩き出す。
「あ・・・」
みゆみゆが何かに気づいたように声を出した。
「どうしたの?」
「オバケ屋敷・・・誰かいたような・・・人影が・・・。」
私の腕を掴んでいたみゆみゆがより力を込めて腕を掴む。
「人影って・・・。」
恐る恐るオバケ屋敷と呼んだ洋館に目を向ける。
頼むから何も見えないで・・・。
・・・何も見えなかった。
「よくわからないな。透視できる?」
「はい・・・でもちょっと距離があってうまく見えません。・・・それに、もういなくなったようです。」
「そうか・・・。」
「ごめんなさい、気のせいだったかもしれません。」
そうであってほしい。
「でも念のため確認してみようか?」
「ああ、それは後でもいいんじゃない?トンネルの周りとか知らべて何も無かったらもう一度戻ってきてさ。みさととかも呼んで。」
三人だけで行くのはちょっと心細い。
私の影の中にエミーもいるけど・・・。
「うん、そうだな。でも一応瞳美たちに連絡しておこう。」
鈴城くんが通信機を取り出し、トンネルの入り口付近に差し掛かったときだった。
「あっ!」
今度は私が声を上げた。
「な、なんですか!?」
トンネルの出口の向こう。
人影がはっきり見える。
ほとんどシルエットだけど、二メートル近い大きさで・・・でも人間とシルエットが違う。
出た!あれが甲冑男だ!!
「わっ出た!出ました!!」
みゆみゆパニック。
甲冑男も私たちに気づいたのか、向きを変え早足で逃げ出した。
「追おう!」
トンネルに向かって私たちは走り出した。
~つづく~