~大蛇~
大河の川岸でお昼。
王子様が隣りに座っている。
「アンとお昼が食べたいなんて、どういうつもりなのかしら?」
「理由は・・・特に無い、なんとなくそうしたいと思っただけだ。」
「なんとなくねえ・・・」
「・・・まだ名前を聞いていなかった気がする。名を教えてはくれないか?」
「私?アンだけど。」
「アンか・・・君のように面と向かって私に意見した相手は初めてだ。」
「意見っていうか・・・言いたいこと言ったけどね。」
私としては早くレイナのところに行きたい気持ちもあるし。
「うまく言えないが・・・何か私の心に動くものがあった。」
「・・・。」
「姫を助けたい・・・もちろんその気持ちはあったが・・・私には全然勇気が足りなかった。」
「まあその通りね。」
「イッちゃん。ごめんなさい。」
「構わない、その妖精の言うとおりだ。」
王子様はいつもは見せないような笑顔を今日はたくさん見せている。
「さっき気にに言われた、私に何かあったら国の民が困ると。」
「うん。」
「・・・しかし、勇気の無い王ではまた国の民も困ることになる。」
まあそうでしょうね。
「強くなるには私にはまだまだ時間がかかりそうだ。・・・だが姫は助けたい。」
王子様は立ち上がった。
「アン。頼りない私だが・・・姫を助けるため力を貸してくれ。私はもう閉じこもったりしない。」
王子様・・・。
「もちろん。私はそのためにここに来てるんだから。」
私も笑顔になった。
私も王子様に笑顔向けたのって初めてじゃないかな。
と、そのとき川の水面が盛り上がった。
!?
私たちが気が付くのとほぼ同時に、川から巨大な蛇が襲い掛かってきた・・・!
~つづく~