~リゴの町~
大蛇の襲撃を退けた私たちは河を渡り、夕方には”リゴ”という町に着いた。
大きな陸の船は町には入れない。
またガザイの村のこともあるし、陸の船は町から少し離れた所に停めることにしたみたい。
町は結構大きい。
兵隊さんたちの話しだと、この次に行く町の次くらいに大きい町なんだって。
ガザイの村では買えなかった物も色々あるみたい。
買出し係りのグループが船から降りて、町に向かっていく。
私とイッちゃんもそれに付いていくことにした。
荷馬車に乗せてもらって町へ。
その後ろから王子様を乗せた馬車がやってきた。
荷馬車に王子様の馬車が並ぶ。
「アン」
「あれ?王子様もお買い物?」
「ああ、大蛇に刺して剣を失ってしまったからな。新しい剣を買うつもりだ。」
「どうせ買うならお飾りじゃなくてちゃんと使えるものを買いなさいよ。」
「はは、そのつもりだ。」
「もうイッちゃん口悪すぎ。怒られても知らないよ?」
「あら、あたしなりに心配して言ってるつもりだけど。」
・・・そうは思えないけどなあ。
荷馬車が町の門をくぐる。
大きな石の壁の門だ。
「わあ、人いっぱいだね。」
門をくぐるとすぐ大通りになってたみたいで、道の左右にはたくさんの建物が並んでいる。
大きな商店街・・・かな?
人もたくさん行き来してる。
「おじさんはどのお店行くの?」
馬車を操っている兵隊さんに聞いた。
兵隊さんと言っても、戦うより炊事とかを担当しているちょっとぽっちゃりしたおじさんだけど。
「わしは塩や小麦粉じゃ。なにせ大勢が動いておるからの。ありすぎて困ることにはならんて。」
「ふ~ん。」
王子様の馬車は荷馬車を追い抜いて前を走っていた。
王子様の側にはいつもの側近の人たちが・・・。
その中には大蛇に私たちが襲われたとき、変な苦々しい顔をしていた人もいた。
・・・。
「ねえ、おじさん。あのいつも王子さまの側にいる人たちだけどさあ。」
「ん?おおあの方たちが何じゃ?」
「あの王子様の横にいる目つきの悪そうな人って、どんな人?」
「ゲルパ様かの?」
「多分その人。」
「むう、そうじゃなあ・・・優秀で厳しいお方であるには違いないが・・・どうにも腹の内の読めん人じゃな。」
・・・やっぱりそんな感じの人か。
大蛇のこと以来、あのゲルパという人の冷たい表情が気になる私だった・・・。
~つづく~