先日、「学生の『キャリア官僚』離れ」という新聞記事を目にしました。ここで言う「キャリア官僚」とは、国家公務員試験(総合職)の合格者から「官庁訪問」と呼ばれる面接を経て各省庁に採用された幹部候補になる人たちのことです。同じ記事の中で、国家公務員試験の合格しながら、民間企業に就職した東大生の言葉として 「民間企業と比べると、給与や働き方、キャリア形成に不安を覚えた」 というものもありました。

また、企業の採用ページでは「新卒採用」と並んで、「キャリア採用」をしているところも多くなっています。大学での「キャリア教育」も盛んです。「キャリアデザイン」「キャリアプラン」「キャリアパス」というのもあります。

最近、よく聞くこの「キャリア」という言葉。これっていったい何なのでしょう? 説明できるようで、きちんと説明できない。ということで、ちょっと調べてみました。

 

厚生労働省の「キャリア形成を支援する労働市場政策研究会」報告書(平成14年7月)では、下のように説明されています。

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「キャリア」とは、一般に「経歴」、「経験」、「発展」さらには、「関連した職務の連鎖」等と表現され、時間的持続性ないし継続性を持った概念として捉えられる。
 「職業能力」との関連で考えると、「職業能力」は「キャリア」を積んだ結果として蓄積されたものであるのに対し、「キャリア」は職業経験を通して、「職業能力」を蓄積していく過程の概念であるとも言える。
 「キャリア形成」とは、このような「キャリア」の概念を前提として、個人が職業能力を作り上げていくこと、すなわち、「関連した職務経験の連鎖を通して職業能力を形成していくこと」と捉えることが適当と考えられる。
 また、こうした「キャリア形成」のプロセスを、個人の側から観ると、動機、価値観、能力を自ら問いながら、職業を通して自己実現を図っていくプロセスとして考えられる。

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ここでの「キャリア」は、単なる「職業能力の形成」ではなく、「自己実現を図っていくプロセス」という人生全体をとらえる言葉として定義されています。つまり、キャリアを積むということは、仕事の経験を積むという事だけではなく、その仕事に取り組むプロセスの中で、身につけていく技術・知識・経験に加えて、人間性を磨いていくこと、そしてプライベートも含めた自分自身の生き方を磨いていくということになるようです。

 

「キャリア」は、考えていたよりずっと大きな概念でした。大学の「キャリア教育」では、こういうことを教えているのでしょうか。最近の学生たちは、企業選択においてワークライフバランス的な視点を重視しているといわれていますが、それも「キャリア教育」の成果???。仕事だけでなくプライベートも大切にしたいということなのでしょうけど、それが直に「自分自身の生き方を磨く」ことにつながるわけではないようにも思います。

 

どちらかというと終身雇用制度の中で働いてきた親世代。真面目にコツコツ働いていれば、定年まで勤めることができ、退職金をいただける時代でした。では、郁たちの時代は、どのように働いていく時代になるのでしょうか・・・。

郁はキャリアをどう考えて、業種(職種)を選んで、就活をしているのでしょうか。

今度、聞いてみたいと思った母でした。

 

参考:manpowergroup;キャリアの意味とは? 人事担当から見て魅力的なキャリアとは?