まだまだ続く就活シリーズ。今回の話題は、就活生が目指している「内定」。母的には「内定=就職先確保」って感じなのですが、そもそも、「内定」ってどういう状態なのでしょうか?

 

「内定」とは、法的(判例的)には「始期付解約権留保付労働契約」であるとされています。「始期付解約権留保付労働契約」とは、「労働契約の始期(通常は入社日)までは、企業と求職者のそれぞれが解約権を留保するというかたちの特別な労働契約をいいます。原則として労働契約が成立しているが、特別な事情が発生した場合には入社日前の内定取り消し(または辞退)が可能になるというもの」なのだそうです。

 

「原則として労働契約が成立している」ということなので、学生から見れば採用は確約されていると解釈できます。ただ、通常は、企業が学生に対して「内定通知」を行い、学生がそれに対して「承諾書」を提出することで労働契約が成立することになります。つまり、「内定通知」をもらっても、期限までに「承諾書」を提出しなければ、内定の効力は生じないということになります(内定辞退とみなされる?)。

「内定」もらって舞い上がりすぎて、「承諾書」の提出を忘れると、悲劇が・・・。

ちゃんと、落ち着いて「内定通知書」をしっかり読むことが大切ってことですね。

 

「承諾書」が企業に受理されると、「(始期付解約権留保付)労働契約」が成立。企業にも学生にも法的な拘束力が発生し、企業側は、簡単には「内定取り消し」はできません。
一般的には、次のようなことが挙げられています。

・応募者が卒業単位不足などで卒業できなかった場合 

・応募者が病気やケガなどで働けない状態となった場合

 ・応募者に犯罪行為があった場合 

・企業の業績悪化など経営上やむを得ない場合 

・応募者が経歴詐称をした場合、等

(出典:マイナビ2025 知っておきたい!就活関連基礎用語 内定・内々定とは?)

 

郁がもらった「内定通知書」にも、きちんと「内定を取り消す」条件が書かれていました。

郁が内定をもらった企業の採用選考自体は大卒予定で受けることができるのですが、郁は採用選考を「大学院修了予定」で受けているので、修士を修了できなければ、たとえ大卒資格はあっても採用はしないということが明確に記載されていました。ここ重要ですよね。後で、トラブルにならないために、一つ一つ丁寧に記述されていました。

 

「内定取り消し」は、「解雇」と同様なので、その条件は厳しいです。しかし、学生の「内定辞退」は、簡単に(?)できます。「内定辞退」は、「退職の申し出(雇用解約の申し入れ)」と同じと考えられるので、民法上では「いつでも解約の申入れをすることができる」とされていて、この場合の雇用契約は「解約の申入れの日から2週間を経過することによって終了」します。つまり、法律上は入社の2週間前までであれば、いつでも内定辞退が可能であり、内定承諾書を提出した後であっても同じということになります。とはいえ、「内定辞退」されれば、企業側としては、採用予定人員を下回る可能性もあり、新年度からの業務に支障をきたす可能性も・・・。

法的には、労働者側が守られているとはいえ、入社意思のない企業の内定を早めに内定辞退することは、学生としての最低限のマナーだと感じました。

 

ちなみに、大学入試の場合、募集定員よりも多くの合格者が出ます。それは、合格者の中には入学辞退をする人がある一定数いることを前提に合格者(数)を決めているからです。そこの読みを間違えると、入学者が定員を割ったり、逆に定員を大幅に超過する可能性が・・・。定員を割った場合には、補欠者を合格者に繰り上げることで補うこともできますが、超過してしまった場合には、そのまま受け入れるしかありません・・・。

郁は、面接で、他にどこのインターシップに行ったかを聞かれたことがあったようでした。もしかしたら、企業も内定辞退率を考慮しながら、内定者数を決めているのかもしれませんね。

 

 

参考:

ベンナビ労働問題HP:労務問題 内定通知書とはどんな書類?法的効力や通知後にとるべき行動を徹底解説

マイナビ2025:就活準備 知っておきたい!就活関連基礎用語 内定・内々定とは?