グルジア編①ワイン屋さんの続き~

とにかく人がいい!が第一印象の素敵な国グルジア。でもグルジアを取り巻く環境は厳しい。
EBRD推定の失業率は12.9%とかなり深刻な数字となっていて、厳しい経済環境を示している。

他のいくつかの旧ソ連国家がそうであるように、グルジアは自国内に資源も基盤産業もないので、
どうしても独立後もロシアに頼らざるを得ない状況が続いていた。(現在はアゼルバイジャンから資源輸送用パイプラインを誘致することに成功したため状況は好転。)

また、人口の四分の一に当たる100万人以上がロシアでの出稼ぎ労働者で、彼らの送金がグルジア経済を
支えている、という現実があった。

そんな中でのロシアとの武力衝突、それに派生したロシアの禁輸処置や査証発行停止措置により、またその後のクライシスによりグルジアの経済は深刻な状況に陥っている。。。。。。


ということでグルジア旅行回想に戻ります☆


(もーり。酔っ払いながら)おばちゃん、ところで最近の商売どう??



もうね、ロシアと戦争してから観光客が全然来なくなったからね。
生活もままならない状態だよ。

それまではアメリカとかヨーロッパから一杯観光客が来てたんだけどね。
やっぱりイメージってあるでしょ。戦争しちゃって危ない国っていうイメージ
があるもんだから全然来ないのよ。日本人なんかほんと久しぶりだわ。

別に私たちはロシア人のことは嫌いじゃないのよ。むしろ、昔は同じ国だったん
だから、シンパシーすら感じているわ。国民間ではそれはロシア人も同じだと思うわ。

問題は政府よ。そりゃ私たちも独立国家としてしっかりした主権は確立したいけど、
ロシアを怒らせてしまったらそもそもの生活すらままならないじゃない。
グルジアは経済的にも多くをロシアに依存してきたのよ。

とにかく一刻も早くロシアと国交回復して元の状態に戻ることを今は望むわ。

ところでもう一杯飲んでいく??


と、どこまでもやさしいおばちゃん。ロシアの強権と欧米への傾倒の狭間で揺れる
グルジアの市民の実情。


ホテルへの道すがら、一人の陽気な初老に話しかけられる。
ヤポーニー??(日本人?)ダー。(そうだよ。)



ということで、おしゃべり好きのグルジア人との井戸端会議開始。


グルジア景色奇麗だし、人もやさしいし、飯も上手いし最高だね!
ところで、通りで物乞いしているおばちゃんが一杯いるけど、なんで?家族は?

彼らは年金暮らしなんだけど、年金だけじゃとても生活していけないんだよ。
家族にしても、若者もろくな仕事がなくて、とても充分やしなっていけるだけの
経済力はないからね。


やっぱり問題は政府にあるの?

サーカビシはアメリカだヨーロッパだというけど、そのせいでロシアとの関係が悪化
していじめられて、今はこのざまだ。
ところで日本はいい国なんだろ?


いい国だよ。ところでおっちゃんはこんなところで何してるの?


と、尋ねるともの寂しそうな目にきまりの悪い微笑をたずさえ、僕を見ながら左手を差し出す彼。

彼も歩行者兼気のいい初老のおじさん兼物乞いだったのだ。。


ロシアからの本当の独立は果たしたいけど、でも今はなによりも安定した生活が欲しい。
そんな心の声が聞こえてくるような、現地市民との会話でした。

ということで今回はここで終わり。