萬田康文写真展『WHITE』 | monday books

萬田康文写真展『WHITE』

来月4/3より地元である奈良県の美術館で写真展を開催します。
会期は二ヶ月間。僕も何度か会期中に美術館に足を運ぼうと思います。

会場の喜多美術館は桜井市の大神神社(おおみわじんじゃ)の近くにあります。
僕は高校時代に部活のウォーミングアップがてらのジョギングのゴールは大神神社でした。
その道程が「山辺の道」という歴史的な小さな街道で、喜多美術館はその傍らに静かに佇んでいます。毎日のように美術館の横を走っていたのですが、中には入りませんでした。
初めて入館したのは二年前の春。常設展の派手さはないが、品のよい内容に静かに心が動かされました。そして、別館では企画展の展示をしています。僕の展示もこの別館で開催します。

2010年に茅場町の森岡書店で展示した『WHITE』と未発表の別の『WHITE』の両方を今回は展示します。既に発表したシリーズは奈良で撮影した雪の光景を、新作はイタリアで撮影した霧の光景です。奈良とイタリア。僕に関わりの強い二つの場所の光景を、思い入れの強い三輪という土地で展示出来るのはとても幸せなことです。

初めて美術館を訪れた5月、新緑の三輪はそれはそれはうつくしく、おおらかで、心やすまる空気に満ちあふれていました。僕は新緑の空気を吸い、まとい、えんえんと散歩をしました。
この感覚を僕の好きな人たちと共有したい、三輪さんにふれてもらいたいと、歩きながら考えました。写真展をすればいいんだ、と考えが、ふと頭をよぎりました。
写真展のテーマは「見る、見える、見えない」についてです。視覚重視の普段の感覚とそれが用をなさなくなった時の人(僕自身)の他の感覚についての写真です。

三輪は見るところではなく感じるところだと、僕は思います。高校生の時から、嫌な事があると、三輪山が見える場所に行きました。ひとり、座ってぼーっとしてると不思議と心が落ち着きました。僕はスピリチュアルという言葉が胡散臭くて嫌いなのですが、大昔から今に至るまで、人々の信仰の対象となってきた場所にはそういう効果もあるのかもしれません。

この春はぜひ、三輪散策と喜多美術館へ足をお運びください。
案内のハガキが必要な方はメールください。

喜多美術館