三つ目の扉を通り過ぎた。
壁一面が緑色の回廊は、まだ続くように思えたが、あっさりと、行き止まり。地下への階段を発見。橋を越えてからは、ずっと右回りに進んでいた。
「また下がるんだね?」
「暗そうデス…」
「足元、注意して下さいね?」
「行こう」
迷う必要は無い。先へ進もう。
「ん……?ずいぶん暗……闇だ、ね?」
「何とマア……」
「まるで、いえ…気のせいかしら?」
「……」
気のせいなどではなかった。
一度体験した。地下一階を包んでいたダークゾーン。それと同じだ。
カンテラの明かりが何も反射しなくなる影響下で、カンテラが無ければ、暗闇に吸い込まれてしまいそうだ。おまけに湖底の階だからか、冷えきっている空気を吸い込む。
一歩、二歩と、匍伏前進。口で息をした。
地形が分からなくて、遭遇戦には不利だろう。だが、反撃は一瞬で決める。どんと来い!
「い、いてっ」←小声
「どうしたデスカ?」←小声
「何かに、肘がぶつかっちゃって。……いったたぁ」←小声
「平気?…段差になってるのかな?かれんちゃん、行くよ?」←小声
前衛と後衛を、直ぐさま入れ替えた。
暗闇の中で、何かを手探りする様子がしていた。すぐ傍だけど。
「……ええ、多分」←小声
「じゃ、よつ…」←小声
「オフコース!まもチャマ、準備はイイデスカ?」←小声
「うん……いいよっ」←小声

「ー」

段差も、這って進んだ。
前の方で動きが止まった。段差の先は、開口しているらしい。
退がりかけた一瞬の静けさ。何かの音を聴いた。
途端に、湿度のある風が吹いたように、感じた。
正面、遠くから篝火が灯る。こちらに向かってどんどん点灯してくる。
「な、何かが来る!?」
あに達が這っていたのは、台座に続いている階段だった。

「臨戦態勢!…それにしても、なんつう仕掛けだよ?」
「すごいよね!?」
「明るくなりマシタ…」
「ええ、罠かしら…」
視界の先、魔の気配が、激しく肌を打つ。
あに達よりも遥かに巨体な姿をしたものが、篝火の灯った柱の間を通り、ゆっくりと近付いてくる。
その姿を、眼下に見下ろせているが、大魔神の倍は超えてそうだ。
こいつがゾーマだな…と、閃くまでも無く、確信めいたものが湧いた。来るべき所まで、来た。

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続く