二歩先で、捕まった。
あと五歩も踏み出せば、ゾーマ、という距離に迫ったが。今は、…ゾーマが嗤って見ていやがる。
視線の先、床からぬっと踊り出た巨大骨族【バラモスゾンビ】に、片足を掴まれていた。不意の出現で、前衛が機能しない。
吐き出された凍える吹雪を一発もらう。防ぎきれないのは、いつもながら。攻め手が、薄まる時間帯だ。
「出来たら、防御!」
「さっぶいっ!もう…離してよっ!」
「二人を離すデス!ルカニ!」
「一度…力の盾を!」
わかっている。省エネだ。脚の自由を殺されている。耐えておこう。

 まもる→こうげき
 よつば→ルカニ
 かれん→こうげき
 あに →こうげき

硬質な皮膚……骨に、ダメージを与えたという手応えがない。隼の剣での攻撃も、弾き返されている。
「アレレ?オカシイナ……」
…ルカニも効かないようだ。
バラモスゾンビの荒々しい吐息と、耳障りな唸り声ひとつ。
全身をあらわした。
視界が、横に動いた。

「ー」

篝火に叩きつけられた。
頭だけは守った。素早く、力の盾を翳す。
拘束は、解けた。
バラモスゾンビの手の骨が、よつばめがけて発射された。ように見えた。
速い。
「四葉ちゃん!」
「目だけは、守れよ!?」
星降る腕輪よ、力を貸せ。
剣と盾と、鎧もな。

こちらを、見ていた。
骨の破片が散弾状に、よつばに突き刺さった。
「ああああああ!」
仲間の悲鳴。身体を二つに折り、崩れた。
「い、い、いい・・・・・・こんノオーッ!!」
振り絞っている叫び。まるで特攻だ。
「よせぇっ!」
「無理しないで、よつばちゃん!あにさん援護行くよ!」
畜生。狙われた。
かれんの詠唱。ベホマ。閃く、そのゾンビキラーを借りるよ。
駆けた。よつばの斬撃。跳ね返された。まもるが前に出る。間接部分への一撃。ヒビだらけの上腕部を砕いた。
トドメは僕で決まるか?
駆けながら、隼の剣を左手に持ち替えた。ゾンビキラーを右手に携えて。
強く、踏み込んだ。

「ー」

「ベホイミしようか?」
「へっちゃらデス!」
「危なかったね?」
「バラモスゾンビさんは、ちゃんと成仏できたかしら……」
「大丈夫なんじゃない?」
「あの時、まるで惣/流・ア/スカ・/ラ/ン/グレーみたいだったね…」
「チェキ?それは、誰デスカ?」
「えっ…」
「ボクも知りたい!」
ゾーマの眼前だということは忘れた。
遭遇戦の後は、仲間同士、お互いを労うものだ。


続く