跳ね返すまでも無かった。
躯にダメージは残るが、攻撃を繰り返させ、感情が高まった頃合いに、それを刈り取る快感があった。
我慢し過ぎて、涎が出そうだ。
磁場の熟成と、絶望感の高まりが、愉しみで仕方が無い。
笑みがこぼれた。
磁場から漲るとは言え、消耗が無い訳では無い。刈り取って補給せねば……、唯一無二の、決定力を見せてやろう。

「ー」

からかわれている。
そう思った。
額に両手を翳し、腰を落としたゾーマ。
「なに?」
「気にすんな!一気に行くよ!二人とも!」
「ハイデス!」
まるで/太/陽/拳/のポーズ……。
ふっざけやがって、やれるもんならやってみやがれ。
怒りの感情は、憎しみの一歩手前だがきっと大丈夫だろう。制禦できる、はず!
かれんが専守回復してくれているし、一斉攻撃を繰り返してやる。
攻めに駆けたのち、光が襲い、身構えた。一瞬の眩しさ。全身を通過して透き通る。何かを見通せるようで、何かに包まれたような気がした。

「…………っ」
「別に何も……?」
「ああっ!?」
「どうしたっ?」
「ええっ!?ドウシテまもチャマの髪型が雛子ちゃんミタクなってるデスカ?」
「え?あ、本当だ…ボク……ツインテールだ…」
放射能を浴びた。等では無いようだ。

「そういう四葉ちゃんは髪がサラサラに…なってない?」
「チェキ?た……確かに」
見渡した。かれんちゃんの三つ編みもほどけている。みんなと最初に、出会った頃の姿と一緒だった。
何だ?この変化は。

「外観だけだ!一気に攻めるよ!二人とも!」

何が起きたのかわからないが、ダメージは無かった。マヒャドとメラゾーマをかい潜り、一斉攻撃だ。

*くくく……。

「ってぇー!!」
「あああっ!」
「つめたぁー!」
「うっ……」

膝を折った。マヒャドが強烈過ぎる。先刻と威力が数段上がったのか。畜生……、ふざけた構えは、威力増幅の構えか何かだったのか。くそう。
全員の動きが止まった。
攻め手は中止だ。凍えと、ダメージに負けそうになる。

「何をした?」
「寒い……」
「……ホ……マラ………」
「冷た痛いデス!」

*わからんか? ならば ちのめぐりを よくしてやろう。
メラゾーマ!

「ばっ……おっ・うおおおお!」
「あにさんっ!?」
特大の火球に焼かれた。
鎧でも兜でも、防げていない。
やってはいけない、やりたくもない、ノーガード戦法。
一体、何をされたのだろう。


続く