ぶっ/コ/ロ/す。
喉元まで、出かかった。
バラモスも仕掛けてきたことのある、重複詠唱が強烈過ぎる。
ゾーマの命を奪いたい訳ではない、だが脅かしてくるならば、容赦できない。勿論、容赦したくないが…。
……苦戦中だった。
今までの、バイキルト頼りの戦闘とは違う。
あれやこれやと試行錯誤しながら、連戦していた頃に、戻っただけだ。
気持ちの上で、不利を感じたくない。勘違いでも、有利にしたい。
躯の中が、ベホマによる増血作用ばかりで、何だか気持ち悪い。
爪撃。流血による心地好さを、感じ始めた。苦痛を忘れ、身のこなしが軽くなるような気がしていた。
後衛の様子を、声だけで確かめた。距離は、遠い。
「誰かベホマ要る!?」

「大丈夫…だよ!」
「可憐も、自分で…できます!」
「四葉も!」

「大変だろうけど!さ…」
何かを言いたいのか、言うべきか分からなかった。
「ボクも攻めるよ!」
「え?」
「交代で、攻撃しましょうね!」
「チェキですぅ!」

チェキ、か。何か戦略を練れたのかな。
憎悪が漂い、溢れていても、おかしくない。負の感情に支配されるのは、避けれたようだ。
漲るみんなの底力。素直さにも似た地力が、あにの肌を打つ。輝きを、感じた。

「ー」

笑みが、こぼれた。
打ち砕く、悦び。希望の芽を摘む、快感。
勢いに乗らせず、調子づかせない。凍てつく波動は、消耗無しで放てる。

*ばかめ!

不動の構えから、重複詠唱のメラゾーマ。
火球を、クロスさせた。
焼き尽くせ。燻り、煙る薫りが、堪らない。
全身に漲る、ドSの血脈。
磁場から得たのは、新鮮な嘆きと苦しみ。
目の前の"あに"らが、傷つく度、新たな力がゾーマに注ぎ込まれてゆく。
「アツツツ……」
*ほろびも なかなか いごこちがよいだろう?
「さぁ…ね」
*ごくじょうだぞ……。
*くっきょうなものどもが おちてゆくのを みとどけるのは。
「そう………ですか」
*し の まぎわ……。わしが やみへと いざなってやろう! いけにえども!
「ありがとう。く/た/ば/れ」







何だこいつら。
虫の息から回復したり、諦めから立ち直らなかったりで、また希望を膨らませては、易々としぼむクセしやがって・・・。並々ならない、耐久力。だからこそ漲り、漲る。
全てが尽きた時に、極上の悦びを与えてくれよう。
*こ/ろ/し/が/い/が ある! たまらぬ! たまらぬぞ!


続く