声がした。
夢うつつ、どこだ?頭の近く。

「…………動けなく…………なったの…………かい?」

 … い や
まだ動けた筈だった。流れ上…こうなったが、休めるなら今しか無いんだよね。

「…………そう…………か」

 … 起 こ す の … か い ?
まあいずれ、自然に目覚めるとは思うけど。脳天気過ぎるかな。

「【ザメハ】」

…ん?

「……【ラリホー】」

ぐう…。

「…………ザメハ」

…んあ?

「……ラリホー」

ぐう……。

「ザメハ」

/メ/ガ/シ/ャ/キ/。

「……つっ…ラリホー……もう……止さない……と」

くかぁ…。

「影千代は…………優しい、な…………」
「……千影……あにくんが……壊れてしまう……よ……?
 今は、……休ませ……ないと……」
「ふむ…………影千代こそ…………休んだら…………どうかな…………?
 訓練で…………MPを…………殆ど…………使いきった……ろう?」
「……」
「可笑しいね…………あにくんが…………ラリホー…………を、思い出すとは…………ね…………ふふ」
「ふふ……この寝顔を、ずっと……眺めていたいよ……」
「そうだね…………」

影千代と呼ばれた娘は、千影と同じ貌である。
異なるとすれば、外観の装備品くらいである。あにが目を覚ましても、おそらく見分けがつかないだろう。
あにと戦闘訓練していたのが…影千代で、千影ではない。
影千代は、千影の“影“と言うか形代と言うか、消滅しても差し支え無い。千影とまるっきり同じ行動や考えをする/コ/ピ/ー/ロ/ボ/ッ/ト/でもない……。/不/可/思/議/堂/。
千影も、以前から存在を認めており、自分に近い存在の・・・彼女に敬意を込めて、影千代と呼んでいた。
秘密裡に、仲良く(?)一緒に暮らすことで、エンゲル係数は二倍に跳ね上がり、千影は眉をひそめたこともあった。
…ただ、影千代を他の妹達とは、決して引き合わせたりはしないし、存在を公言したり、明らかにすることはなかった。影千代本人もそれは望んでいない。
クールな影千代は、オリジナルの、千影の存在を、脅かしたくはなかった。
千影も、影千代も、あにくんと一緒に******ことさえ叶えば、色々と困難が付き纏うものの、結果良好と考える妹ら(?)であった……。
戦闘訓練終了に際し、影千代がSな訳では無く、元々の千影が・・・、おや?来客のようだ。こんな夜更けに………。