以前に叩き鑿(荒彫り用の鑿)について少し触れましたが、今回は小道具鑿や彫刻刀(仕上げ用)を紹介したいと思います。
彫刻道具に何の関連も無い人から見れば、かなりマニアックな内容かもしれませんが・・・御了承下さい・・・
まず、小道具鑿と彫刻刀とは手に持って握り、叩かずに押して削る道具です。
彫刻刀は、誰でも耳にしたことはあると思います。
上の写真では右側の二本が彫刻刀です。
彫刻刀は刃先から柄までの幅が均等で、比較的短く造られています。表札やレリーフなどの浅い彫りには、柄から刃先までが短いので力が入りやすく安定感があるので、浅い彫りに向いています。
小道具鑿は刃先に対して柄に入る部分が細く造られていて全体的に長いです。立体彫りでの込み入った部分や分厚い板の深い部分まで刃先が届くので万能です。ですが、表札などの表面しか彫らない時は、小道具鑿では柄から刃先まで遠く安定感に欠けます。
刃の形状は・・・平、内丸、外丸、切出し、三角、曲がり・・・と、他にも特殊な形状はありますが
、基本的に上に述べた形状があればあらゆる彫刻が出来ます。
仕上げ用の鑿は、作品を美しく仕上げる為に使う物で、常に刃先は傷なく鋭く保つように心掛けます。
特に裏(刃物が平らな方)は非常に大事です。裏の出し方(研ぎ方)で刃物の切れ味は全然違います。
内丸。鋼が湾曲の内側に付いています。
外丸(裏丸)。鋼が湾曲の外側に付いています。
これはまあまあの裏でしょうか・・・
鍛冶屋などに個性みたいなものがあり、目に見えにくい微妙なレベルですが、柄側から刃先に対して真っ直ぐな物や内反りや外反りな物があります。
そのクセを見分けず適当に裏出し(裏を平らに研ぐ)をすると・・・
このように不細工な裏になったりします(これはひょうたん裏とか言ったりします)
次に柄についてですが、私は元々柄には何も細工はせず使ってましたが、色を塗るようになりました・・・何故なんでしょうか・・・色を塗るのが面白くなったんでしょうね
そして、柄は自分で削って作ります。
刃物の購入直後はこんな状態です。これを黒刃と言います。もちろん柄が付いた状態でも
売っています。でも私は絶対柄を自分で作ります。これも好みでしょうね
材料はヒノキ、ヒバ、朴などの比較的軽い物が適してると私は思います。
仕上げ用の鑿は、叩き鑿以上に大事に保管します。
私は鑿をあちこちから集めるように買い足してきたので、色々な銘柄があります。
私の持っている銘柄を紹介して締めたいと思います
光雲(こううん)
小信(このぶ)
研綱(とぎつな)
清綱(きよつな)
高田(たかだ)
政吉(まさきち)
白翁(はくおう)