資格取得に係るインセンティブ制度の導入についてお伺いします。
一級建築士の試験における過去十年の状況を見ると、一次の学科試験、二次の製図と、一次、二次を合わせての合格率は一〇%にも満たない狭き門となっております。
資格を取得するには、年間一千時間の勉強時間の確保が必要と聞いておりますが、公務員としての労務時間は年間二千時間程度必要で、専門学校費用も百五十万円近くかかると言われております。
建築部門の職員において、四十代以上のベテラン職員については、七、八割が一級建築士の資格を取得しているとお伺いしました。しかしながら、建築基準法も厳格化され、若い世代ほど資格取得率が大幅に下がってきています。
一級建築士の資格を持たなければ、建築確認あるいは建築許可、建築基準法に基づく指導など、資格を必要とする事務を担う業務の履行が難しくなるとのことです。
時代とともに民間も公共施設も老朽化し、修繕・施工管理が増えることからも、県職員における一級建築士の確保は、喫緊の課題と考えています。しかしながら、公務員は職務を遂行する能力に応じる職能給であって、その職務の難易度や責任の度合いに応じて支払う職務給制度ではないことから、建築士の資格の取得に対して、昇給や昇進は難しいと思います。
そこで、こうした職務上必要とされる難関資格の取得について、賞与のときに手当を支払うなど、資格取得に対するインセンティブを検討され導入していくべきと考えますが、総務局長に御所見をお伺いします。

総務局長(岡田芳和君) 

職員に対して支給することができる手当につきましては、地方自治法に定めがあり、資格取得に対するインセンティブについて、手当等で支払うことはできませんが、適材適所の人事配置を図るために、職員の資格取得状況等を把握しているところであり、引き続き、適切な人事管理を進めてまいります。

 

村上栄二君 

手当は難しいのですけれども、賞与は可能ではないですか。どうですか。

 

総務局長(岡田芳和君) 

一般的に賞与と言われているものにつきましても、地方自治法の手当に該当するというふうに考えられますので、いずれにいたしましても、職員に対して支給することができる手当等については、自治法に定めがありまして、手当等で支払うことはできないということでございます。

村上栄二君 

実は大阪市のほうでは、賞与で差をつけたりもしているので、一度そこを改めて確認して、またお話をさせていただけたらと思います。
 資格職に係るインセンティブもそうなのですけれども、そもそも職務上必要とされる資格の取得に係る支援として、専門学校に通う奨学金の支援制度とか、勉強する時間をつくり出す組織体制も必要ではないかと考えます。
 さらに、企業局の水道部門においては、四月から水道広域連合企業団へと移行されます。
 これまでは、同じ県庁内組織として、企業局から土木建築局にお願いしていた建築関係の設計や施工管理に関わる業務などが、水道企業団へ移行されることに伴い、組織上は県から離れてしまうことから、一級建築士問題はここでも考えられます。建築士の課題を含め、今後の県行政課題を明確にして、計画的に採用、育成に取り組んでいただくことを要望と代えさせてもらいます。