あ、ヒキガタリビトの部屋

「渡辺先生」


渡辺先生


小学校3年生の時の担任が

渡辺先生という人だった。


男性。


僕の学校では

「変な噂」があった。


赤い扉


ある校舎の1階の奥にあった

謎の赤い扉。


赤い扉には入ってはいけない。

という謎のルールがあった。


担任の渡辺先生は

いつも和かで明るく、

人気のある先生。


少し暖かい季節だったか

理科で虫眼鏡を使った実験を外で行った。

太陽の光と虫眼鏡を使って紙を燃やすみたいな事をやったような記憶がある。。。


その日の放課後、

渡辺先生から声をかけられた。


吉田、この後、赤い扉には来い。


僕は何が何だか分からないまま

校舎一階の赤い扉の前で渡辺先生を待った。

もう一人、呼び出されていた同級生の女の子も居た。

その人も何故呼ばれたのか分からない様子だった。


しばらくすると渡辺先生が来て

赤い扉の鍵を開けた。


初めて入る赤い扉の中は暗く、

よく見えなかったが倉庫っぽい感じだった。

冷たい空気。。。


渡辺先生には笑顔が無く


そこに座れ。

と言われたので

体育座りをした瞬間、


正座だよバカッ!

と怒鳴られた。


え?渡辺先生???

と僕の頭の中では何が何だか。。。


お前、

理科の実験の時、

虫眼鏡を人に向けただろ?


と言われたので


そんな事してません。

と言った瞬間、

おもいっきり殴られた。


吹っ飛ばされた僕も

隣にいた女の子もブルブル震えた。


嘘ついてんじゃねぇよ!

お前にやられたって話を別の生徒から聞いてんだよ!


僕は大泣きしながら

やってません!

本当です!

と叫んだ。


渡辺先生はそんな事も聞く気にもたず

やったんだろ?

謝れよ!

なめてんじゃねぇぞクソガキがっ!


僕は怖くて怖くて

小学生ながらに殺される気がして

意味も分からず


すみません!

すみません!!


と必死に頭を下げた。


その後の事はよく覚えていないが

数年後

朝の朝礼で渡辺先生の転勤が決まった事を知らされた。


僕の心はほっとしたが

周りの生徒の残念そうな顔が嘘のような現実で悲しかった。


おしまい。