『淡路恵子さんへ』

私が芸能界で一番憧れていた大先輩、淡路恵子さんがお亡くなりになりました。

初めてお目にかかったのは、10年近く前…ドラマでの共演でした。

本来ならば、私などが話し掛ける事など出来ないほどの大女優の淡路さん。

…でも、休憩中に周りの目など全く気になさらずにプカプカと煙草を吸う淡路さんの格好良さに当時の私は一目惚れ。

猛アタックをする日々でした。

完全に恋する乙女になっていました。

今もあの当時も、機械音痴の私ですが…淡路さんがドラクエがお好きだと知ればゲーム機とドラクエを急いで買いに走り、淡路さんとの接点を必死に探したり。

サッパリ分からないゲームのストーリーを先に進めれば、淡路さんにお電話をするきっかけが出来る！！と…やはり完全に恋する乙女でした。

そして、ほとんど同時期に淡路さんも私もバラエティ番組でご一緒させて頂く機会が増え…あの低く迫力のあるお声で、プカプカと煙草を吸いながらニヤリと口の端を上げてお声を掛けてくださる淡路さん。

ある日、身内スタッフに自分の衣装の好みや仕事の意見をなかなか言えないと悩んでいた私に『自分の事くらい、きちんと自分で決めなさい！自分が着たい物、自分がやりたい事くらいきちんと主張しなさい！』と
ピシャリと叱って下さった淡路さん。

数週間後の番組収録前、その後の自分の変化をお伝えすると…やはりあの口の端を上げるお顔で言葉少なにニヤリと応えて下さる淡路さん。

私などには計り知れない壮絶な人生を生き、それでもご自身の宿命から逃げず、最後の最後までブラックなユーモアセンスを持ち続けられた淡路さん。

私の家には今…淡路さんに譲って頂いたお靴が七足あります。

全て箱に入っていて、ラベルにも淡路さんの歴史を感じます。

嬉し過ぎて何度も何度も並べては眺めましたが…実際は、ご一緒させて頂く番組の時に二回程履かせて頂いただけです。

淡路さんの歩みが靴に沁みていて…勿体無くて、とても日常使いなんて出来ませんでした。

今後いつの日か、日常的に履ける時が来るのでしょうか？

潔く、美しく、激しく、批判を恐れず痛烈な言葉を発し…私達の何百歩も前を歩いて下さった女優さんでした。

憧れの淡路さんに顔向けが出来る女優人生を歩みたいと…今、改めて心からそう思っています。

想像を絶するほどの、壮絶な人生を乗り越えてこられた淡路さん。

…本当に長い間お疲れ様でした。

…淡路さん、大好きです。

…淡路さん、格好良かったです。

淡路さん、本当にお疲れ様でした。

大好きです。

大切なお友達に囲まれて、これからはゆっくりお休みになられて下さいね。

あ…ゆっくりなんて淡路さんらしくないですね！

煙草をプカプカ、強いお酒をひと舐め…辛いコンニャク炒めを食べながら、お空の上でもニヤリと笑っていて下さい。

本当に大好きです。

私達と出会って下さって、ありがとうございました。

ご冥福を心よりお祈り申し上げます。

遠野なぎこ