新入社員が会社に入社すると、サラリーマン家庭のご子息と比べて商売人家庭のご子息のほうが仕事ができるようによく聞きます。また、サラリーマン社長のインタビューのコメントやビジネス書の帯コピーなどでは、商売人の家庭環境を高く評価するような内容を多く目にします。


「もともと私自身が船場商人の息子だったから、ビジネス、というか商売気質の地盤はもともと血の中に根付いていたんでしょうね」


「元々商売人の息子であり、サラリーマンだった。まず採算性、収支のことを考えた」


「商売人の息子はただ言われたことを言われた通りにやってたんじゃいけない。言われたことの一歩も二歩も先を考えて行動する。こうでなくちゃいけない」


「生粋の商売人の家庭で波瀾万丈に育った著者が、生来の感受性の鋭さと商才と前向きな性格で、数々の企業を再建していくドキュメント」


このことに関連して、新人にとって仕事ができるというのは、能力の問題ではなく、“仕事がイメージできる”という創造力の問題であると強く感じます。

単純なところでは、接客や電話での応対は決定的です。子どもの頃から両親の応対を見ていた人は、接客がイメージが知らず知らずのうちにできていたのです。

企業が新規事業などで、新会社をつくった場合、すべてにおいてイメージ有りきでなくては仕事はできません。親会社では、会社に行けば仕事がありました。詳しくは用意された仕事があったのです。新会社では、待っていても仕事はありません。受身の人が過半数を占めるような新会社では、自分の給料分すら稼ぎ出せないで、みるみるあいだに資本金を食いつぶしていくだけです。

お金を生み出すためには、仕事をイメージすることができなくてはなりません。イメージできてはじめてプランがつくれます。いわゆるプラン・ドゥ・チェックの流れが生まれてくるのです。

仕事のイメージは、入社してからでも数々の経験を積むことによって容易につくれます。そのためにも社員の自主独立の精神や創造性は大切です。

社員だけではありません。起業家や経営トップに仕事に対するイメージが有るか無いかで、その企業の将来が占えます。事業イメージの無い社長の売上目標は、社員を疲弊させる単なる過酷なノルマに過ぎないのです。

明日の仕事がイメージできない人は、人の上に立つより、人に使われるほうが幸せかもしれません。大企業へ就職することをお勧めします。