「ナイフ」
気が狂いそう、
それはときに暴れるくらいの美しさを持つ言葉、
その瞬間ばかりを作りたがる調香師、
優しさに抱く夜の匂いばかりを探す、
冷たい水に跳ねる光の角度に気づいたら、
調光師は夜に凍える冬の水色ばかりを求めてた、
体温さえも届かず感情すらない透き通る水の色、
悪魔に抱かれた夜の匂いは光に満ちた、
その日に生まれたヒトでなきをワインに漬けた、
いまこの世界のどこかにロールスロイスは焼かれてて、
サイドミラーに“ざまあみろ”の落書きが、
後部席の紳士らしきは泡を吹き出し裸になって、
醜さ隠す服を脱ぎ捨て醜態さらす、
その煙と焼けるガソリン、
その匂いも悪くはないと思うなら、
光は何処にでもあるって気づく、
気が狂いそう、
そんな制御のない気分、
悲しみだとか優しさだとか、
そんなものは戯れ事だ、
狂うばかりで何を掴める?
狂うばかりで貫いてやれ、
再びナイフみたいに尖る時間だ、
ナイフを手にする刻がくるんだ、
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⇒ガールフレンド
⇒ひどく雨の強い日に
⇒桟橋下のシャーリーズ
⇒サマー・トライブ
⇒黄金の羽根が舞う
あの夏、ぼくらは流れ星になにを願ったんだろう……
流星ツアー(表題作を含む短編小説集)
あの人への想いに綴るうた