NHKはトランプ以下? | ふるさとを守りたい、子供達の未来を守りたい

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日々頭に浮かんだことを語りたいと思います。


1月19日放送のNHKクローズアップ現代プラス「トランプ大統領誕生 過激発言の真意はどこに」http://www.nhk.or.jp/gendai/articles/3920/index.htmlを見た。この番組の制作者、記者、キャスターは高学歴の優秀な「エリート」だと思われるが、高卒の私でも知っている常識的、基本的なことも理解されているとは到底思えない内容で、彼らは報道に携わる者としての適性に欠けると言わざるを得ない。


例えばこれだ。


『鎌倉千秋キャスター:「それからもう1つ、この政策の中で注目なのが、大胆な減税をしながら、同時に巨額のインフラ投資をするということ 常識的に考えて、減税してインフラ投資、財源はどうするのかという、これまた矛盾するようにも見えるが、トランプ氏は、どういう意図なのか?」

横江公美氏(政策アナリスト):「できないことをやるかもしれないというふうに思わせるのが、トランプ氏の真骨頂ということもありますが、同時に、実際にできるかということと同じように、減税というのは、今、所属している共和党の考え方ですけど、インフラ投資1兆ドルするというのは共和党的な考え方ではないんです。
そこにも矛盾があるんです。
でも後者が、トランプ次期大統領のやりたいことなので、一応、前者は、共和党に気を遣っていると。
トランプ流のバランス感覚ともいえると思います。
(でも、やっぱり矛盾はしている?)
ただ、彼はビジネスマンなんですよ。
政治家でもなく、官僚でもなく、ビジネスマンだということがあって、今までも「できない」と言われていることを、実際に「できた」という例があるんです。
ニューヨーク市でそういう例がありまして。
ですから、そういうのもあって、自分自身に「俺はできるんだ」というふうに思い込ませているような。
そこから突破口を探していくというのが、彼のやり方だというふうに、共和党の重鎮たちも理解しています。
(常識的に考えて、誰もやってこなかった、やらないであろうことを自分ならば不可能を可能にできるんじゃないかという、その経験に裏打ちされた発言ということ?)
そうなんです。」』と、あったが、日本や米国のような円やドルなどの自国通貨建て国債の国は、中央銀行(日本の場合日銀)が政府の発行した国債を通貨を発行して買い入れることで、政府債務を実質的に無くす(永久に返済も利払いも不要)ことが可能であり、自国の有するモノやサービスの供給能力(あるいは、インフレ率)の許容範囲内においては税収を上回る政府支出拡大ができるという基本的な「事実」さえ知らないようだ。


実際、このような政策の成功例はいくつもある。例えば、日本では1931年に犬養毅内閣の蔵相に就任した高橋是清が主導し、国債発行を財源とした公共事業などの大規模財政出動を実施し、世界恐慌にともなう世界的なデフレ不況から最も早く脱却に成功している。また、アメリカでルーズベルト大統領が不況対策として実施したニューディール政策も高橋是清の政策と同様の内容である。


つまり、アメリカ政府が国債発行と中央銀行による国債買い入れで財源を調達すれば、トランプ大統領の公約実現は十分可能なのだ。もちろん、財政赤字の増加はリスクもあるだろうが、アメリカは日本同様、橋梁などのインフラの老朽化が深刻化しておりこれは国民の生命や財産を脅かす重大な危機である。一方、財政赤字の増加には人の命を脅かすほどのリスクはないだろう。日本やアメリカの政府が現時点において財政健全化とインフラ老朽化対策のどちらを最優先すべきかは言うまでもなかろう。


また、これにも違和感を覚えた。


『トランプ氏の移民政策に不安が広がっているのが建設業界です。
労働者の多くは、メキシコなどからの移民。
中には不法移民も少なくないと見られています。
メキシコと国境を接する、ニューメキシコ州。建設会社を経営する、マイク・ロフティンさんです。
建設現場で働く人の9割が移民。
今や、彼らの力なしに住宅は建設できないといいます。

建設会社 社長 マイク・ロフティンさん
「建設業界では、確かに不法移民も少なくありません。
不法移民の労働力が制限されれば、住宅価格は上昇し、建設は減ってしまいます。」

さらに、不法移民を排除すれば、トランプ氏が掲げる巨額のインフラ投資の実現に支障を来すのではないかとロフティンさんは言います。

建設会社 社長 マイク・ロフティンさん
「インフラに巨額の投資をするのであれば、大量の労働者が必要になるでしょう。
もし不法移民を排除したら、どう人材を確保するというのでしょうか。」』


とのことだが、そもそも、アメリカは法治国家のはずだが、企業が不法入国や不法滞在という犯罪行為を黙認して利益を得るということが法的にも、道徳的にも許されてよいのだろうか。


移民規制の強化で人手不足が発生することが悪いことのように言われているが、実は、人手不足は社会全体特に労働者に大きな利益をもたらすのだ。そもそも人手不足になるということは、「人(労働者)が貴重な存在になる」ということだ。つまり、企業は労働者を高賃金で雇用したり、労働時間や福利厚生などの労働環境の改善に積極的に取り組まざるを得なくなるのである。


トランプ大統領が公約に掲げる保護貿易政策や移民規制強化を実行した場合、物価の高騰でトランプ氏を支持した中低所得層のアメリカ国民を苦しめる結果になるのではないかと指摘する識者(池上彰氏など)がいるが、これは多くの国民は消費者兼労働者であるという事実を無視した指摘であり、間違っている。移民規制強化や保護貿易政策を行った場合、労働者であり消費者でもある多くの国民の所得が増えその結果、多少モノやサービスの価格が上昇しても個人消費が活性化し、さらに物価が上昇して国民の所得がさらに増加し、ますます個人消費が活性化するという好循環が国民経済にもたらされる可能性が高いのだ。


人手不足は賃金増加や労働環境改善のみならず、生産性向上ももたらす。これも多くの国民に大きなメリットを与える。人手不足を移民で補った場合は労働者は移民との雇用の奪い合い、低賃金競争を強いられる一方、ロボット導入などの設備投資や技術開発の推進による生産性向上で対応した場合、労働者一人当たりの所得が大幅に増加したり、ロボット製造などの新しい仕事(雇用)が生まれるのである。例えば建設業でいえば、ある建設会社が以前は1ヶ月に住宅を10軒しか建てられなかったが、生産性向上により20軒建てられるようになれば従業員の1ヶ月の所得は2倍に増える計算になる。


結局のところ、NHKの制作者、記者、キャスターをはじめとしたマスコミ、政治家、官僚、学者などの多くは、過剰に大企業の経営陣や投資家の立場に立って物事を考え、行動するという悪い意味のエリート意識を強くもっているのではないだろうか。


我が国日本は自然災害大国である。災害対応において重要な役割を担う建設・土木産業の労働力を移民(外国人労働者、技能実習生)に依存することは、東日本大震災の際に多くの日本在住の外国人が一斉に海外脱出したことからもわかるように、経済のみならず災害から国民を守るという安全保障の観点でも危険なのだ。労働力の移民依存というアメリカの失敗から学び、日本の建設・土木産業の労働力不足は移民に依存せず、賃金の大幅引き上げや労働環境改善と、設備投資や技術開発の推進(必要であれば政府が支援)による生産性向上で解決を図るべきとの結論を示す者こそ、国家(共同体、社会)全体の利益(公益)のために考え、行動するという良い意味の真のエリートであるといえよう。



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