出発です。

五時間後の夜行列車に飛び乗る予定。

寝台車を選んだのは『考える時間』が欲しかったから。


昨日・・・やっと彼と連絡がとれた。

『未だに言葉が出ない。それでもいいか?それでも来れるのか?』

の問いに・・・『去年の夏、聞こえなくなったアナタの元に飛んでいきましたよね?』

と、返す。

今の私には・・・【逢って確かめたい】ただそれだけだ。

二泊三日の予定で彼の住む街のホテルに予約も済んでいる。

なのに・・・『14日だけにしてくれないか?』

・・・え?

『私の誕生日に日付けが変わる瞬間一緒に居てくださるって言ってましたよね?』

これは・・・彼が声をなくす前にした約束・・・。

『じゃあ、15日に来る?』

・・・絶句。

以前は・・・会う日を指折り数え待ち望んでいた二人だった。

『そちらの都合に合わせます。今はお仕事されてないんですよね?』

返事が帰ってこない夜を過ごす。

朝・・・深夜に配信されたメールには『そっちに合わすよ。』



会うのは明日の昼過ぎにS県某駅の東口。

待ち合わせの時間すら決まっていない。


・・・最終決戦の始まりです。