ニューヨークの見える環境問題対策 | 裸のニューヨーク

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ユー・ドント・ノウ・ニューヨーク・ザ・ウェイ・アイ・ドゥ...これは私のアンビバレントでパーソナルなニューヨーク・ストーリー。

「夢の乗り物」としていっとき話題になった米国製の「セグウェイ」をニューヨーク市警が10台購入したそうで、公園をパトロールする警官の姿がTVで紹 介されていた。一般人は公道で乗り回す事が出来ないのに不公平だという声はあるものの、子供には大変人気だという。スピードは出ないので逃走犯人を追うの には向かないが、市民と触れ合うには恰好の乗り物だと報じていた。大量のガソリンをばら撒かないセグウェイはエコロジカルな乗り物で、このところ環境問題 に力を入れているブルームバーグ氏の姿勢をアピールするユーモラスなニュースだった。

ブ ルームバーグ市長は残り少ない任期中に環境問題で功績を残したいようだ。4月22日のアースデイには、現在820万人の人口を抱えるニューヨークの環境 (交通、ハウジング、エネルギーシステム)の将来的な劣化を予想して、120以上の対応策を打ち出した。その1つが平日のピーク時にマンハッタンに乗り入 れる車両に8ドルの渋滞税を課すという提案である。ロンドンでも既に導入されているこの制度、そのうち東京でも取り入れられるのだろうか。

シ ンガポールでもピーク時にタクシーに乗ると割り増し料金を取られるので、貧乏ツーリストの私などは(待てよ、割り増し時間帯だからタクシーに乗るのは止め ておこう)と考えた。それだけガソリン消費が減り、廃棄ガスも減った結果となったのか、それともどうせタクシーは街を流しているのだから同じ事だったのか はよくわからないが、1回のタクシー利用が減った事だけは確かである。

5月に入ると市長は今度は市内に約1万3000台あるタクシーを、 2012年までにすべてハイブリッド車に切り替えると発表。矢継ぎ早の決断は何も変わらない、なかなか変わらないどこかの国とは大違い。昨年訪れたニュー ヨークではハイブリッドバスを見かけたが、ごみ収集用のトラックや公務用の乗用車にも導入されているという。

その他、ニューヨークには人力で動くエコでキュートな乗り物「ペディキャブ(自転車タクシー)」(註)が300台程度走っているし、また、バイクメッセンジャーも多く、見ているだけで楽しい。

変 化の見えるニューヨークに比べて東京都は二酸化炭素の排出削減への取り組みで6月1日にようやく大規模事業者に対して排出削減の数値目標を設け、達成を義 務づける方針を固めた段階である。都庁の近くに停まっている大型観光バスは長時間エンジンを切らずに廃棄ガスを放出して客待ちをしているし、郊外では広い 道路でエンジンをかけたまま昼寝をしたり弁当を食べている長距離トラックを見かける。かけ声や義務付けだけではCO2の数値はなかなか下がらない。即決即 断という点では石原都知事よりブルームバーグ市長の方がはるかに上手のようだ。

ジャネット・ジャクソンの1986年のヒット曲”What Have You Done for Me Lately?(私のために最近何をしてくれた?)”ではないが、石原都知事にも”What have you done for us lately?”と言ってみたくなる。