悪いマナーには罰金を課すべき時期 | 裸のニューヨーク

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ユー・ドント・ノウ・ニューヨーク・ザ・ウェイ・アイ・ドゥ...これは私のアンビバレントでパーソナルなニューヨーク・ストーリー。

 ニューヨークのバス内で微笑ましい光景を目にした事がある。年配の女性が乗って来ると、後部座席にかたまって座っていた小学生の低学年の男の子達が一斉に立ち上がり、競って「ボクの席に座って(Please take my seat.)」と彼女に向って言うのだ。いいところの坊ちゃんのように見えたが、躾がいいといたく感心した。

 それに比べ、帰国して目にしたわが国の電車内のマナーはひどい、ひどすぎる。空いている席目がけて隣の車両からダッシュして来た小学生の男の子が、今まさに私が座ろうとしていた席にどっかと座り、両隣に両手を広げて席を2つ確保し、「おかーさーん」と呼んで、私が座りづらい状況を作り出したのだ。今なら「どきなさい、私が先なんだから」と構わず座ってしまうところだがその時は日本のバッドマナーに免疫がなかったのでなす術を知らなかった。

 そこに母親と姉がやって来て、あっけに取られた私を尻目にデン、と当然のように腰を下ろした。私は「いいお子さんをお持ちですね」とイヤミを言うのが精一杯。それに対して母親は「ええ、まあ」と返事。この息子にしてこの母ありである。

 そのうちマナーの悪さにも慣れたが、大人はともかく、子供の振る舞いで目に余る行為は注意するようにしてきた。先日、ジャンケンをして勝った方が頭を叩くという「ゲーム」をしている子供達がいた。小学校4年生ぐらいで、女の子が叩く時には力を加減しているのに、男の子の方は力いっぱい叩いている。見るに見かねて「止しなさい」と注意した。男の子が女の子のカバンを持って逃げ回っていた時にも、女の子が困っている様子が見て取れたので注意した。私がどうしてこんなに子供達の動向が気になるのかというと、補習塾で小学生から高校生までの生徒に英語を教えていた10年近い期間には誉めたり叱ったりするのが仕事の一部だったせいであろう。

 大人のマナーがひどいのだから子供が悪くて当然と言えば当然。先日はTVで琵琶湖で、水上バイクというのか、ビュンビュン飛ばして危険極まりない大人の映像を見たが、罰金がないので痛くも痒くもない。このまま行けばシンガポールのように厳しい罰則や罰金が課せられるようになるかもしれない。実のところ、それしか道は残されていないように私には思える。

 ニューヨークの地下鉄なども数年前から罰金が厳しくなった。口の開く容器に入った飲み物を持ち込んだり、座席に脚を乗せたり、些細と思われる事にも罰金が課せられ第二のシンガポールのようである。

 シンガポールは本当に街が美しい。訪れて本当に気持ちがいい街のひとつである。日本もそうなれるはずである、罰金刑を導入すれば...