来年またニューヨークへ | 裸のニューヨーク

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ユー・ドント・ノウ・ニューヨーク・ザ・ウェイ・アイ・ドゥ...これは私のアンビバレントでパーソナルなニューヨーク・ストーリー。

ニューヨークは距離的にも経済的にも遠い

ここ10年ばかり1年か2年に1回はかつて住んだニューヨークに「戻る」という生活をしている。70年代に4年間住んだ思い出のあるこの街での体験は必ずしも楽しい事ばかりではなかったが、古着屋を1人で経営して泥棒に入られたり、万引きを追いかけたりした経験も、年月のフィルターにかけられて、今となってはほろ苦くもなつかしい。そして、若い頃のようにまたあの街を闊歩したいという衝動に駆られ、貧困ラインより更に下の家計をやり繰りし、貯金を切り崩しては1ヶ月ほどを彼の地で過ごす。

ニューヨークについての本を書きたいという願望は数年前から持っていて、自費出版のような形では1冊出しているが、ハーレムについて書きたいと思い昨年は思い切って2ヶ月を費やしてハーレム取材に出かけた。ハーレムの図書館にも通って資料も集め、ポツポツと原稿を書き進め、その1部は商業紙で連載されているが、1冊の本にするだけのボリュームの原稿を書くにはまだまだ取材が足りない。ブラック・カルチャーについての項に深みを与えるであろう、その分野のプロフェッショナルの方-ダンサーや歌手、作家などにもどうにかしてつてを辿って会って話が聞きたい。ハーレムの目抜き通りである125丁目を歩きたい。それに何より、熱いソウルを持つハーレムの人々にまた会いたい。昨年友人になった人々に再会して他愛のない話がしたい。

というので今年の8月にまたハーレムを訪れようとして、マイレージでの旅行が可能なので席を確保しようとしたが無理だった。また、昨年に続き今年も1ヶ月以上を、すっかり物価が高くなった現地で過ごすとなると、例え航空券が無料でも滞在費の捻出で経済的には大打撃である。

アメリカではよく大企業が無名のアーティストなどのスポンサーになってくれたりするので、旅行会社がスポンサーになってくれないだろうかと、わらにもすがる思いで数社に電話をかけたり、メールを送ってみたが、断りの返事が来ればいい方で、返事すらくれない会社が多い。ニューヨーク旅行が当る懸賞にも目に付けば応募しているが朗報は届かない。

どうしても行きたかったが資金もない事だし、と断念した。残念でしょうがない。よくニューヨークに行くので「羨ましい」とか「優雅ですね」と言われるが実情は以上の通り。金持ちのマダムが「私も行きたいわア」などと言うと理不尽な事はわかっていても腹が立つ。ニューヨークなどすぐに行けるのだ、金さえあれば。何ならガイドしてあげてもいい。そこまで言っても、じゃあ行きましょうという事にはならない。行く気がないならそんな事を言わないで欲しいと、いつも行く度にお金のやりくりに汲々とする私は思う。

PS 来年8月のマイレージ特典旅行の予約が出来ました!あと一席しかなかったというから、驚き。1ヶ月前に
予約しようと思ったってできないはずです。