今日も旧HPより過去記事転載です

堅い話が続いてすみません・・・


♪初見♪

初見課題に強くなるには とにかく「慣れ」です。毎日最低1曲は初見の練習をしたいものです。
楽譜やさんで 初見用の曲集を買い 毎日1曲(以上)弾き 失敗した事をメモしておくといいでしょう。
例えば「ト長調はふぁに♯」「臨時記号に注意」「休符」など自分で解る言葉で簡単に。

まず 楽譜の左端から 1個ずつ丁寧に情報を読み取ります。
まず音部記号・・・一般的な記号が書いてあるか?(右手はト音記号、左手はヘ音記号など)。両手ともヘ音記号でスタートしたりしている事に気がつかないと へんてこりんな曲になってしまいます。
次に調号・・・ついていない場合は ハ長調かイ短調、などの基本的な決まりを覚えておきましょう。
ど(ハ)・そ(ト)・れ(ニ)・ら(イ)・み(ホ)・し(ロ)・ふぁ(ヘ)・ど(ハ)
♯と♭を省いた形ですがこれを覚えてしまい シャープ系の調だったら 左から右に、フラット系の調だったら右から左に読んでいって 「ど」の次の音から指を折って 調号を数えていきます。
例えば シャープが3つ付いていたら 「ど・そ(指を1本折る)・れ(2本折る)・ら(3本折る)・・・あ、イ長調か・・・いや、待てよ3度下がって嬰へ短調かもな」と調の見当を付けます。
この段階で 最後のダブルバーラインまで 目を飛ばして 最後のベース(バス・最低音)の音を確かめます。たまにベース主音で終わってくれない曲もありますので期待した音でなかったら しょうがないので最後の音全てを読みましょう。主和音の構成音が2つ以上ある調のほうが 正解です。
例えば 左手「ど(♯)」右手「ら」などだと 嬰へ短調には聞こえませんね。主音は省略されないのでどこかの声部に出てきます。ちなみに短調だと 第7音(導音)がかならず♯やナチュラルで半音あげてあるのでそれも判断の基準になるでしょう。
次のチェックは 拍子記号です。何の音符が1拍分になるのか 下のほうの数字で確認し 何拍子かを上の数字で確認します。2分音符が1拍になる2/2や3/2などは要注意です。
次に曲全体を見て 臨時記号、強弱記号、テンポをかえる言葉、タイなどをざっと見て心の準備をしておきます。
実際に曲を読む段階では できるだけ 最初から両手で読み、できるだけ「どんな曲なのかな?」と頭の中で歌ってハーモニーも想像してみましょう。最初は むちゃくちゃでもよいです(実際弾いたときの曲との違いもまた面白いです。笑い事ではありませんが)。
アタマでメロディーと伴奏(メロディーとメロディーの場合もあります)のハーモニーを想像しているときには手は膝の上で 指使いを考えます。この作業を怠ると実際弾いたときに 慌てる羽目になります。
実際に鍵盤で弾くときは 速度用語が無い場合は 音楽に聞こえる範囲内でできるだけゆっくり数えながら弾きましょう。速度用語が書いていなくても題名に「ワルツ」などとあれば やはりあまりゆっくりもできません。題名が付いている場合はそれに見合った速度で弾けるようになりたいですね。

初見用の曲集は 同じお教室の友達と交換したりして いろんなものを弾いてみましょう。先生に貸して頂くのもいいでしょう。



♪譜読み♪
初見の練習とあまり手順は違いません。
無防備に弾きはじめるよりも 事前に心の準備をしましょう。上記の事以外にも普通のおけいこの曲なら もっと長いし 難しいでしょうから 気を付けなくてはならない事が増えます。
途中で調号が変わったり 急に臨時記号が(一定の音に)増えたりしていると 転調している可能性が大です。
例えばソナチネ/ソナタは絶対に属調に転調します。主調を確認し終わったらその調の属調と調号をアタマに入れておきましょう。
できれば 提示部・・・第一主題=テーマの提示(主調)と第二主題=まったく違うメロディー(属調)、発展部=第一主題のちょっと変わった形(属調のまま)、再現部=最初とほぼ同じ(主調に戻りそのまま終わる)
などと 分かり易い(覚え易い)形式の決まっている曲の構成は知っていたほうが良いでしょう。譜読みの時間が激減します。上記は ソナチネ/ソナタ形式ですが メヌエット&トリオ、バロックのダンス、バッハのフーガ、ロンド形式などは弾くたびに分析してみ、わからなかったら どんどん先生に質問しましょう(教えてもらっていない場合はぜひ「お願い♪」と言って 教えてもらいましょう)。

初級の人で 大抵の曲は 2部形式か3部形式、という人は どこで曲のムードが変わるか考えておきましょう。
スーパー初級の人は 弾きはじめる高さに注意。真ん中の「どみそ」くらいの位置からか?高い「どみそ」くらいの位置からか?ちゃんと確認しておかないとかわいい曲なのに 恐く聞こえたり(低く弾いてしまった場合)、またはオルゴールみたいな曲になったり(高く弾いてしまった場合)します。



♪暗譜♪
上記の事に気を付けていたら 暗譜もさほど苦労はしない(はず)です。
調性などは ちゃんと 次からはト長調だぞ!などと確認しながら弾いていきます。これで調号落ちや 変な和音(やアルベルティバス)を弾いてしまう事が減ります。転調前の和音進行も理解して、覚えておくと安定感が違います(ぜひ、基本的なカデンツの勉強を!)。
指使いをうっかり間違って その次から記憶がすっぽり抜け落ちた、という事も起こり易いのですがこれは練習時に しっかり指番号を書いてしまう事をお勧めします。特に 手の大きさの関係などで楽譜の指示通りの指使いができない場合は お気に入りの指使いを 書き込んで練習をしましょう。慣れれば大丈夫、と書き込まないで練習していると本番で急に間違ったりします。
どうしても覚えにくいところは 視覚に頼ってもよいでしょう。邪道だと言われそうですが わたくしはどうしても覚えにくい音の近くに平仮名で大きく「ら」と書いたりします。加線が多い訳でも ダブルシャープやダブルフラットが付いている訳でもありません。ただそこに「書いた」記憶と練習時になんども平仮名を見ている記憶が脳に残り易いのです。ここまでひどくなくても「ⅵ」だの「dim(減7)」だのと書き込む事もあります。
頭の中に楽譜を思い浮かべてそれを追いながら、というのは よほどの天才でないと覚えきれないでしょう。大学受験の時に友達でバッハの平均律のフーガを5線紙に書けるようになるまで暗譜させられていた子がいましたがそこまでする価値があるのかは 試した事が無いので解りません。
視覚に頼るのは「ここぞ」という個所だけでよいと思います。

わたくしがする練習法は メトロノームで ものすごく遅いテンポに設定し(例えば四分音符=100で仕上げていたら 四分音符=72くらいで弾いてみる)それでも暗譜で着ているか確認する、というものです。これをやると結構弱い部分が解るかもしれません。
以前は 集中しないで弾いても暗譜できているか?というのをやろうと思い、好きなTVを見ながら(嫌いなTVだとピアノに集中してしまうのでためでした)弾いてみましたが 絶対に成功しなかったし 集中しない練習なんてしても無駄だと思い止めました。

後は 他の先生が 目をつぶっても弾けるようにする、というとてつもなく大変そうな練習法をおっしゃっていましたが やってみると結構できるものです。お試しあれ。
ステージや試験で弾く場合 緊張のあまりアタマが真っ白になる事がありますが真っ白になった、と感じても 別に脳みそが機能しなくなったわけではありません。

落ち着きを取り戻せるかどうか、落ち着ける自信があるか、に暗譜落ちの問題はかかってきますのでやはり十分な練習をする事が望ましいのですが それをするために 1日8時間も練習に時間を費やす事はできません。

理論にバックアップされた 信頼できる暗譜を目指したいものです。

さて、アバウトですが 初見・譜読み・暗譜とピアノ学習者にとって 永遠の課題と思われるものをざっと書いてきましたが 共通して気を付けなくてはならない事は 最低限の知識を持って それをきちんと演奏に応用するという事です。
何百回も弾いて指が覚えてちゃんと弾けた、というのは 単なる言い回しであってこれを省略しないで言うと
基礎知識を踏まえて 何百回もしっかり考えて集中して弾いたから 脳がちゃんと指に命令を出せて しかも ほとんどの命令を忘れる事が無かったので 自信も持てて ちゃんと弾けた
という事になります。
指に脳みそがくっ付いている訳ではありません。アタマの中身の情報をいつもキープする事、アタマから司令が行き届くように指を訓練する事、そして自分の生み出した音をさらに磨き感情をぶつける(やたらめったらぶつける、というのではありません)、という練習の基礎段階、理論という名の土台をしっかり築きましょう。
そしてそれを机の上だけの知識にとどめずに ピアノを弾くときはいつも思い出して有効活用しましょう。