利益率とグローバリゼーション | 大谷秀政オフィシャルブログ「好きなことだけやって生きていきたい」Powered by Ameba

利益率とグローバリゼーション

納税をした。


当社は4月決算なので6月末のこないだの木曜日が納税期限だった。




全部で3千5百万円程を支払った。




売上は年々増加しているのだが、この2年は、利益率が格段に下がっている。

数年前までは二桁%を確保できていた。





どの業界にもいえるが、特に音楽業界は、既存の商売(CDパッケージを売る)が減少傾向にあり、それを補てんするために、いろいろなことをやらなければならなくなっている。


中途半端な音楽配信のシェアやアウトプットメディアの増加により、手間がかかること、やらなければならないことが多くなったという理由もある。


昨今、音楽業界は360°展開などと云われているが、CD販売だけでは、食えなくなっただけのことである。



当社はもともと、売れているものがたいしていないので、昔から360°である。

昔からそれが正当な形だと思ってやってきている。


バンドを維持しなくてはならないからだ。

メジャーメーカーが3万枚売らなければアーティストを維持できないのに対し、うちは1万5千枚でも成立させる。それで同じだけ食わせる。

ということだ。




実際、CDショップでの展開。音楽雑誌でのインタビュー。等、業界はほとんどお金である。




例えば、CDショップから「100枚仕入れますので、30万円下さい。」と言われたりする。

1店舗で100枚といえば結構な平場展開だ。



えーと。


1枚2500円のCDの卸値は1500円で、100枚仕入れてもらって、全部売って、15万円の売上だ。



ん。


その時点で15万円の赤字である。



いや、さらには制作製造費やもろもろの原価もある。プロモーション費用もだ。

ロッキンオンだって広告代出さないと取材しない。




こんなことばかりだ。

CDレーベルなんて簡単にやろうと思わないほうがよい。








話は変わるが。


日本は現在、デフレや不況だと云われている。




これは、インターネットの普及により、世界の後進国の貧しい皆さん達に、先進諸国企業や自国の偉いサンのおこなっていた、経済的植民地として扱ってきた搾取や「ぼったくり」がバレちゃった結果なのである。



今や、エジプトや中国の様に世界中でデモや暴動が起きている。



インターネットの普及が、世界の価値観を均一化し始めている。

「俺にも富をくれよ!」

と。




現在、アジアでも唯一、先進国であった日本がデフレになり。他のアジア諸国ではインフレだ。

これは経済の均一化であり、本当のグローバリゼーションが始まったということである。


で、

もう日本の不況は治らないのである。


むしろ始まったばかりなのである。






ちょっと前に仕事でフィリピンのマニラに行った。


有名な百貨店で、エイプやギャルソンの本物のTシャツが160ペソ(日本円で約300円)で売っていた。


本当に本物で、日本のショップでも見たことのある綺麗なタグに「日本製9500円。」と、書いてあった。



現地で、どちらかというと、Tシャツ1枚9500円と言っているブランドのほうがクレイジーなのだと感じた。

そこまで品質が良いものでもない。




知り合いの悪い中国人が、

「最近は、偽物ではなくて、密輸入、密流通だ。」と言っていた。

「偽物は、販売時、捕まることがありリスキーだ。本物なら捕まらない。」ともいった。


なるほど。

「偽物の工場ラインをわざわざ作るほうが大変だ。」ともね。


そりゃそうだ。



工場長を小銭で取り込んで、本物を横流しするそうだ。


現地の給料や原材料がめちゃ安いのに、商品がめちゃ高いからこうなる。




ヨーロッパの職人が作っている時計なんかが、高いのは理解できる。



安い材料で、安い人件費で作ったものは、もう高く売れない時代になってきている。

そんなところで作っては本当は駄目なのだ。


Tシャツの付加価値が9200円もするのか?ということだ。







世の中がリアルになってきている。






でも、中国が新幹線の特許を申請するのはさすがにひどいな。


今後、製造業の空洞化、技術の流出はこういった問題を、さらに助長するだろう。