◆立春
春立つと古き言葉の韻よし/後藤夜半
韻は「ひびき」と読ませる。昔から、立春の句や歌は数多い。それだけに、後代になるほどひねくりまわし過ぎた作品が目立つようになってきた。止むを得ないところではあるけれど、だからこそ、逆に立春という題材をどう扱うかは、俳人や歌人の腕の見せどころでもある。「芸の人」夜半としては、そこでしばらく考えた。考えた結果、立春のあれやこれやの情景を捨て去って、一見すると素朴な発想のこの一句に落ち着かせることにした。さすが、である。つまり、この句には古今の名句や名歌のひびきが、すべて収まってしまっているからだ。さりげなく「他人のフンドシで相撲をとる」のも、立派な芸というべきだろう。脱帽。(清水哲男)
~増殖する俳句歳時記より。
◆立春/りっしゅん
初春
春立つ/春来る
立春大吉/春さる
二十四節気の一つ。
節分の翌日。厳し
い寒さはまだ続く
が、どこか春の感
がする。この季節
を歌った「早春賦」
は有名。微かに違
う光を窓から取り
込みたい。
春立ちてまだ九日の野山かな
芭蕉「笈の小文」
音なしに春こそ来たれ梅一つ
召波「明和辛卯春」
春立つや愚の上に又愚にかへる
一茶「九番日記」
立春の雪白無垢の藁家かな
川端茅舎「華厳」
立春の雪のふかさよ手鞠唄
石橋秀野「桜濃く」
~きごさいより。
◆クロッキー
立春
春立つや饒舌になるをんなたち
立春や羊水に浮く大頭
立春や米研ぐ水の細濁り
立春や雲まるめたり今朝の空
立春やふたりでつまむあまなつと
立春のややあたたかに古畳
立春や発芽しさうな下半身
◆芭蕉の言葉
耳をもて俳諧を聞くべからず
目をもて俳諧を見るべし。
意
俳句は目に見えるように表現すべし。
意味ではなく、情景を伝える。
立春で一句どうぞ。
春立つと古き言葉の韻よし/後藤夜半
韻は「ひびき」と読ませる。昔から、立春の句や歌は数多い。それだけに、後代になるほどひねくりまわし過ぎた作品が目立つようになってきた。止むを得ないところではあるけれど、だからこそ、逆に立春という題材をどう扱うかは、俳人や歌人の腕の見せどころでもある。「芸の人」夜半としては、そこでしばらく考えた。考えた結果、立春のあれやこれやの情景を捨て去って、一見すると素朴な発想のこの一句に落ち着かせることにした。さすが、である。つまり、この句には古今の名句や名歌のひびきが、すべて収まってしまっているからだ。さりげなく「他人のフンドシで相撲をとる」のも、立派な芸というべきだろう。脱帽。(清水哲男)
~増殖する俳句歳時記より。
◆立春/りっしゅん
初春
春立つ/春来る
立春大吉/春さる
二十四節気の一つ。
節分の翌日。厳し
い寒さはまだ続く
が、どこか春の感
がする。この季節
を歌った「早春賦」
は有名。微かに違
う光を窓から取り
込みたい。
春立ちてまだ九日の野山かな
芭蕉「笈の小文」
音なしに春こそ来たれ梅一つ
召波「明和辛卯春」
春立つや愚の上に又愚にかへる
一茶「九番日記」
立春の雪白無垢の藁家かな
川端茅舎「華厳」
立春の雪のふかさよ手鞠唄
石橋秀野「桜濃く」
~きごさいより。
◆クロッキー
立春
春立つや饒舌になるをんなたち
立春や羊水に浮く大頭
立春や米研ぐ水の細濁り
立春や雲まるめたり今朝の空
立春やふたりでつまむあまなつと
立春のややあたたかに古畳
立春や発芽しさうな下半身
◆芭蕉の言葉
耳をもて俳諧を聞くべからず
目をもて俳諧を見るべし。
意
俳句は目に見えるように表現すべし。
意味ではなく、情景を伝える。
立春で一句どうぞ。