乱心の猫飛び込むや春の闇

春昼やリードの先のヒマラヤン

猫の尾もくの字に曲がる余寒かな

あぢさゐの骨さらばへし芽吹かな

夕しぐれ紅あざやかに梅ふふむ

春なれや森の小藪の椿さへ

野遊びのひとづま紅の濃かりけり

野遊びやよき草陰へ手招かる

野遊びの臀を毛虫に這はれけり

野遊びやをちこち挙がる鬨の声

手に受けて引導渡す名残雪

し残した恋ひとつあり忘れ雪

釣舟の舳先に沈む春の雪



◆俳句のレシピ



白薔薇や向ひの家の忌中札/悠


二物衝撃法
叉は取り合わせ法
二つの事物を対置衝突させて、詩的感興を生み出す

作り方

上5に
季語 + や
を置く


白薔薇や
水仙や
風花や


下5に
上5と付かず離れずの5文字名詞を置く


白薔薇や〇〇〇〇〇〇〇忌中札


中7へ
上5と無関係で結句へ掛かる7文字を置く


白薔薇や/向かいの家の/忌中札

となります

もう一つ

(季語と、や)
風花や

(上5と不即不離の下5)

風花や〇〇〇〇〇〇〇舞扇

(下5へ掛かる中7)


風花や/妻の形見の/舞扇

となります


◆上5と下5がベタにならないように。
また、離れ過ぎて意味不明にならぬようにご注意ください。



春昼、余寒、芽吹、忘れ雪、野遊びなどで一句どうぞ。